フリーランス・個人事業主でお金がないとき|報酬未払いの相談、国民年金の特例免除、共済の契約者貸付
フリーランスでお金がないときは、まず未払いの報酬を回収できるかを確認します。発注者が従業員を使う事業者なら、報酬の支払期日は受領日から60日以内と法律で決まっています。国民年金の特例免除、小規模企業共済の契約者貸付、国税の猶予を公式情報(2026年11月5日確認)で整理しました。

フリーランス・個人事業主は、雇用保険や会社の健康保険に加入していなければ失業手当(基本手当)や傷病手当金を受けられず、収入が途切れたときに使える制度が限られます。その一方で、報酬の支払期日を定めた法律、廃業・休業時の国民年金保険料の特例免除、小規模企業共済の契約者貸付など、事業者向けの仕組みがあります。本記事では、法令と公的機関の公開情報(いずれも2026年11月5日確認)をもとに、確認する順番を整理します。
確認する順番
- 未払いの報酬がないか:入るはずのお金を回収するのが先です。
- 税金・社会保険料の支払いを止めずに済むか:猶予・免除の申請で、延滞税や未納の不利益を抑えます。
- 借りるなら公的・低利の貸付か:小規模企業共済に加入している場合の契約者貸付、社会福祉協議会の貸付を先に確認します。
1. 報酬の未払い:支払期日は受領日から60日以内
2024年11月1日に施行された「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス法)は、従業員を使用しない個人・一人法人(特定受託事業者)に業務を委託する、従業員を使用する事業者など(特定業務委託事業者)に、報酬の支払期日について次のルールを定めています(同法2条・4条)。
- 支払期日は、給付を受領した日(役務の提供を受けた日)から起算して60日の期間内で、できる限り短い期間内に定めなければなりません。
- 支払期日を定めなかった場合は、給付を受領した日が支払期日とみなされます。60日を超える期日を定めた場合は、受領日から60日を経過する日が支払期日とみなされます。
- 発注者は、定めた支払期日までに報酬を支払わなければなりません。
- 再委託で、元委託者の名称や元委託の支払期日などが明示された場合は、元委託の支払期日から30日以内とする特例があります。
報酬を一方的に減額された、納品後に連絡が取れないといった場合は、厚生労働省の委託で第二東京弁護士会が運営するフリーランス・トラブル110番(0120-532-110、受付9:30〜16:30・土日祝日を除く)に相談できます。弁護士が対応し、相談は無料・匿名でもよいとされています。個人での解決が難しい場合は和解あっせんの手続きもあります。相談担当の弁護士が代理人として相手方と交渉することはできないため、代理人が必要な場合は弁護士会の法律相談を利用します。
出典:特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律2条・4条(e-Gov法令検索)/フリーランス・トラブル110番(2026年11月5日確認)
2. 国民年金保険料:廃業・休業なら前年所得にかかわらず特例免除
国民年金保険料は、前年所得が一定額以下の場合や失業した場合など、納付が経済的に困難なときに申請して承認されると、全額・4分の3・半額・4分の1のいずれかが免除されます。日本年金機構は、失業・倒産・事業の廃止などの事実を確認できたときは、前年所得にかかわらず免除・納付猶予を受けられる特例があると案内しています。
- 事業を廃止・休止した方の確認書類の例:税務署等への異動届出書、個人事業の開廃業等届出書または事業廃止届出書の写し、保健所への廃止届出書の控え(受付印のあるもの)など。これらの書類の場合は、別途、失業の状態にあることの申し立てを書式で行います。
- 申請できる期間:保険料の納付期限から2年を経過していない期間(申請時点から2年1カ月前まで)。
- 未納との違い:全額免除の期間は、老齢基礎年金の額に2分の1(税金分)が反映されます。手続きをせず未納にすると反映されません。免除期間中の障害・死亡にも、一定の要件で障害基礎年金・遺族基礎年金が支給されます。
免除・追納の詳しい手続きは国民年金保険料の免除と追納、国民健康保険料の軽減・減免は国民健康保険料の減免を参照してください。
出典:国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度|日本年金機構(2026年11月5日確認)
3. 所得税・消費税:換価の猶予・納税の猶予
国税を一時に納付することが困難な場合は、税務署に申請することで換価の猶予・納税の猶予が認められる場合があり、猶予期間中の延滞税は免除または軽減されます。納税の猶予の対象となる事実には、事業を廃業・休業したこと、事業について著しい損失を受けたことが含まれます(国税庁 No.9206)。税目ごとの流れは確定申告の所得税が払えない場合と個人事業主の消費税が払えない場合で解説しています。
出典:No.9206 国税を期限内に納付できないとき|国税庁(2026年11月5日確認)
4. 借りる場合:小規模企業共済の契約者貸付
小規模企業共済に加入している方は、納付した掛金から算定した貸付限度額の範囲内で、中小企業基盤整備機構の契約者貸付を利用できます。簡易迅速に借りられる「一般貸付」と、特別な事情がある場合の「特別貸付」があります。公式ページに掲載されている現在の利率は次のとおりです。
| 貸付の種類 | 利率(年利) |
|---|---|
| 一般貸付け | 1.5% |
| 傷病災害時貸付け・創業転業時・新規事業展開等貸付け・福祉対応貸付け・緊急経営安定貸付け・事業承継貸付け・廃業準備貸付け | 0.9% |
一般貸付は、借入期間が6か月・12か月なら期日に一括返済、24か月・36か月・60か月なら6か月ごとの分割返済です。返済が滞ると年14.6%の延滞利子が発生します。利率は金利情勢などを踏まえて設定されるため、借りる前に公式ページで確認してください。
出典:共済契約者貸付|小規模企業共済(中小企業基盤整備機構)(2026年11月5日確認)
共済に加入していない場合や生活費が足りない場合は、社会福祉協議会の生活福祉資金を確認してください。事業の継続が難しい場合の家賃は住居確保給付金の対象になることがあります。
この記事の執筆者
マネーガイドジャーナル編集部
金融関連の情報サイトについて多数の運営実績を持つ編集チームです。株式・不動産・FXなど幅広い金融資産の運用経験と、外資系ITコンサルティングファームで金融機関の案件に従事した実務経験をもとに、公式サイト・公的機関の一次情報を確認しながら記事を制作しています。
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