国民年金の免除・納付猶予と追納の仕組み|放置するリスクも解説
国民年金の保険料が払えないときは免除・納付猶予の申請で未納と全く違う扱いになります。免除区分と将来の年金への反映、追納の仕組み、未納を放置するリスクを解説します。

国民年金の保険料が払えないとき、いちばん避けたいのは「何もせず未納のままにする」ことです。国民年金には免除・納付猶予という正式な救済制度があり、承認されれば未納とはまったく異なる扱いになります。さらに、あとから納め直す「追納」の仕組みもあります。この記事では、免除・納付猶予・追納の全体像と、放置した場合のリスクを解説します。
免除・納付猶予制度の全体像
国民年金の第1号被保険者(自営業・無職・学生など)が保険料を納めるのが難しいとき、所得などの要件に応じて次のような制度が用意されています。
| 制度 | 概要 |
|---|---|
| 保険料免除 | 本人・世帯の所得に応じて保険料の全部または一部が免除される。全額免除のほか、一部免除の区分がある |
| 納付猶予 | 一定年齢未満の人を対象に、納付が猶予される(本人・配偶者の所得で審査) |
| 学生納付特例 | 学生本人の所得が一定以下の場合に納付が猶予される |
| 産前産後期間の免除 | 出産前後の一定期間、届出により保険料が免除される |
| 失業などによる特例免除 | 失業した場合に、離職者本人の前年所得を除外して免除・猶予を審査してもらえる |
免除・猶予の審査は、本人だけでなく世帯主や配偶者の所得も対象になる場合があります。所得基準は年度によって見直されるため、自分が対象になるかは市区町村の国民年金窓口・年金事務所で確認してください。失業した場合は、離職票や雇用保険受給資格者証を添えて申請すると、本人の前年所得を除外して審査する特例が使えます。
免除と納付猶予で将来の年金はどう変わるか
免除と納付猶予は似ていますが、将来の年金額への反映が異なります。
- 免除が承認された期間——受給資格期間に算入され、将来の老齢基礎年金の額にも一定割合が反映されます(国庫負担分が反映される仕組みです。反映割合は免除区分によって異なります)。
- 納付猶予・学生納付特例が承認された期間——受給資格期間には算入されますが、追納しない限り年金額には反映されません。
- 未納のままの期間——受給資格期間に算入されず、年金額にも反映されません。障害年金・遺族年金の要件にも不利に働きます。
「未納」と「免除・猶予」は、書類を1枚出すかどうかの違いで将来の扱いが大きく変わります。保険料を払えない状況そのものは同じでも、申請した人だけが守られるのがこの制度の重要なポイントです。
追納の仕組み|あとから納めて年金額を回復する
免除・納付猶予・学生納付特例が承認された期間の保険料は、あとから納め直す「追納」ができます。追納すると、その期間は保険料を納めた期間として扱われ、将来の年金額を回復できます。
- 追納できるのは、承認された月から一定期間内(10年以内)の分です。期限を過ぎた分は追納できません。
- 承認から年数が経過した期間の分を追納する場合には、当時の保険料に加算額が上乗せされることがあります。
- 追納は原則として古い期間の分から納めます。
- 追納した保険料は社会保険料控除の対象になり、所得税・住民税の負担軽減につながります。
追納には申込みが必要で、窓口は年金事務所です。「いつの期間が追納できるのか」「いくらになるのか」は人によって異なるため、年金事務所への相談か、日本年金機構の公式サイトおよびねんきんネットでの確認をおすすめします。収入が回復してから計画的に追納するかどうかは、家計の状況とあわせて判断しましょう。まとめて納めるのが難しい場合でも、追納は月単位で申し込めるため、家計に無理のない範囲で少しずつ進めることができます。期限が近い期間の分から失効していくので、追納を考えている場合は早めに年金事務所で対象期間を確認しておくと安心です。
放置するとどうなるか|未納のリスク
免除申請をせず未納のまま放置すると、次のようなリスクがあります。
- 老齢基礎年金が減る・受け取れない——未納期間は年金額に反映されず、受給資格期間にも算入されません。未納が長期に及ぶと、そもそも年金を受け取れなくなるおそれもあります。
- 障害年金・遺族年金を受け取れないおそれ——障害年金・遺族年金には保険料の納付状況に関する要件があります。事故や病気は年齢に関係なく起こるため、「若いから年金は関係ない」という考えは危険です。免除・猶予が承認されていれば、この要件の判定では未納と異なる扱いになります。
- 督促・強制徴収の対象になる——一定の所得があるのに未納を続けると、督促状の送付や財産の差押えといった強制徴収の対象になることがあります。
すでに未納期間がある場合でも、免除・猶予の申請は過去にさかのぼって一定範囲まで申請できる取り扱いがあります。あきらめずに、まず窓口でさかのぼりが可能な範囲を確認してください。
申請方法と相談窓口
免除・納付猶予の申請先は、市区町村の国民年金担当窓口または年金事務所です。マイナポータルを利用した電子申請に対応している手続きもあります。申請時には次の点を押さえておきましょう。
- 審査は年度単位で行われるため、状況が続く場合は翌年度も改めて申請が必要です(継続審査の仕組みを利用できる場合もあります)。
- 失業を理由にする場合は、離職票や雇用保険受給資格者証を用意します。
- 結果は後日通知されます。承認区分(全額免除・一部免除・納付猶予など)によって、その後に納めるべき額や将来の反映が変わるため、通知の内容は保管しておきましょう。
- 一部免除が承認された場合は、減額された残りの保険料を納付しないと未納扱いになる点に注意してください。
電話での問い合わせ先は、日本年金機構の公式サイトで最新の案内を確認してください。国民健康保険の保険料も払えていない場合は、国保の減免・猶予制度もあわせて確認を。生活全般に困っているときは、自治体の自立相談支援機関や社会福祉協議会にも相談できます。
よくある質問
Q1.自分の免除・猶予の記録はどこで確認できますか?
A.毎年誕生月に届くねんきん定期便や、日本年金機構のねんきんネットで、これまでの納付・免除の記録を確認できます。過去の記録に見覚えのない未納期間がある場合は、年金事務所で照会してみましょう。
Q2.会社を辞めて配偶者の扶養に入る予定です。免除の申請は必要ですか?
A.配偶者が厚生年金に加入していて、その被扶養配偶者(第3号被保険者)になれる場合は、免除ではなく種別変更の手続きになります。どちらに当たるかは配偶者の勤務先と年金窓口で確認してください。
Q3.免除を受けると老後の年金が少なくなるのが心配です。
A.免除期間は納付した場合より年金額が少なくなりますが、未納よりは有利で、追納すれば回復もできます。将来の見込みを具体的に知りたい場合は、ねんきんネットの試算機能や年金事務所の相談を活用してください。
まとめ
国民年金の保険料が払えないときは、免除・納付猶予を申請すれば、受給資格期間への算入や障害・遺族年金の要件面で未納とはまったく違う扱いになります。免除期間は年金額にも一定割合が反映され、余裕ができたら追納で回復することもできます。最も避けたいのは無申請の未納です。所得基準や手続きの詳細は年度によって変わるため、市区町村の国民年金窓口・年金事務所、日本年金機構の公式サイトで最新情報を確認してください。
この記事の執筆者
マネーガイドジャーナル編集部
金融関連情報サイトの運営実績を多数持つ編集チーム。株式・不動産・FXなど幅広い金融資産の運用経験と、外資系ITコンサルティングファームで金融機関の案件に従事した実務経験をもとに、公式サイト・公的機関の一次情報を確認しながら記事を制作しています。
- 掲載情報は公式サイト・政府広報・金融庁等の一次情報を確認し、確認日を明記します
- 確認できない情報は「確認できず」と正直に記載し、憶測で断定しません
- 特定サービスの利用をあおらず、リスクと公的な相談先を必ず併記します



