出産費用が払えないとき|出産育児一時金の直接支払制度・出産手当金・入院助産の申込み
出産費用は、出産育児一時金(原則50万円)の直接支払制度を使うと、窓口では総額から一時金を差し引いた額だけを払います。受取代理制度、会社員の出産手当金、経済的理由で入院助産を受けられない場合の助産施設への申込みを、厚労省・協会けんぽ・児童福祉法(2026年11月5日確認)で整理しました。

出産にかかる費用をまとめて用意できない場合でも、公的医療保険の出産育児一時金は支払方法を選ぶことで、窓口で用意する金額を減らせます。会社の健康保険に加入している方は、産休中の収入を補う出産手当金もあります。それでも費用を払えない場合は、児童福祉法の入院助産(助産の実施)を申し込めます。本記事では、厚生労働省・協会けんぽの公開情報と児童福祉法(いずれも2026年11月5日確認)をもとに、順番に整理します。
出産育児一時金:原則50万円、申請期限は2年
厚生労働省は、出産育児一時金を「公的医療保険の加入者が出産したとき、お子さん1人につき原則50万円がご加入の保険者から支給される制度」と説明しています。支給要件は次の2つです。
- 出産した時点で日本の公的医療保険に加入していること
- 妊娠4ヶ月(85日)以上での出産であること
この2つを満たせば、出産方法・出産場所を問わず対象になります。申請期限は出産日の翌日から2年以内です。退職などで保険者が変わった場合は出産時点の保険者に申請しますが、退職後6か月以内に出産した方は、以前の保険者に1年以上継続して加入していれば、以前の保険者からの支給を選ぶこともできます。
窓口で払う額を減らす3つの支払方法
| 方法 | 仕組み | 出産施設の窓口で払う額 |
|---|---|---|
| 直接支払制度 | 出産施設が本人に代わって保険者に申請し、保険者から施設に一時金が直接支払われます。出産前に施設と「直接支払制度利用に係る合意文書」を取り交わします | 費用の総額から一時金の支給額を差し引いた残りの額 |
| 受取代理制度 | 本人が保険者に申請し、施設が本人に代わって一時金を受け取ります。出産前に支給申請書の受取代理欄を施設に記入してもらい、保険者に提出します | 同上 |
| 償還払い制度 | 本人が保険者に申請し、自ら支給を受け取ります | いったん出産費用の全額 |
費用の総額が一時金の支給額を下回る場合は、加入している医療保険から差額を受け取れます。直接支払制度を利用できるかどうかは施設によって異なるため、それぞれの施設に確認してください。全国の出産施設のサービス内容と出産費用の情報は、厚生労働省の「出産なび」で調べられます。
出典:出産育児一時金等について|厚生労働省(2026年11月5日確認)
会社の健康保険に加入している方:出産手当金
協会けんぽでは、被保険者が出産のため会社を休み、その間に給与の支払いを受けなかった場合、出産の日(出産が予定日後のときは出産予定日)以前42日(多胎妊娠の場合98日)から出産の翌日以後56日目までの範囲で、会社を休んだ期間について出産手当金が支給されます。出産が予定日より遅れた場合は、その期間も対象です。
- 1日あたりの額:支給開始日以前12か月の各月の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額の3分の2。
- 給与が出ている場合:給与の日額が出産手当金の日額より少なければ、差額が支給されます。
- 退職した場合:退職日までに被保険者期間が継続して1年以上あり、退職日に出産手当金を受けているか受けられる状態であれば、退職後も受けられます。退職日に出勤すると受けられません。
- 提出先:加入している協会けんぽの支部。健康保険組合などの加入者は、加入先の案内を確認してください。
出典:出産手当金|協会けんぽ(2026年11月5日確認)
費用を払えない場合:入院助産(助産の実施)を申し込む
児童福祉法22条は、都道府県・市・福祉事務所を設置する町村(都道府県等)に対し、保健上必要があるにもかかわらず、経済的理由により入院助産を受けることができない妊産婦から申込みがあったときは、助産施設において助産を行わなければならないと定めています(付近に助産施設がない等やむを得ない事由があるときを除く)。
- 住んでいる地域の福祉事務所(市区役所・町村役場の担当課)に相談します。
- 入所を希望する助産施設などを記載した申込書を都道府県等に提出します。助産施設が妊産婦の依頼を受けて申込書の提出を代行することもできます。
- 都道府県等は、妊産婦が助産施設を選べるよう、所管区域内の助産施設の情報を提供することとされています。
対象となる基準や手続きの詳細は自治体ごとの案内で確認が必要なため、出産施設を決める前に相談してください。
出典:児童福祉法22条(e-Gov法令検索)(2026年11月5日確認)
あわせて確認したい手続き
- 国民年金の産前産後期間の免除:国民年金第1号被保険者の方は、出産予定・出産した場合の保険料免除制度があります(日本年金機構)。
- 出産後の生活費:ひとり親の方はひとり親でお金がないときに使える制度、医療費の自己負担が高額になった場合は高額療養費も参照してください。
この記事の執筆者
マネーガイドジャーナル編集部
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