生活保護の申請が却下されたら|審査請求の期限(3か月)と手順、審査請求書の書き方
生活保護の申請が却下されたら、決定を知った日の翌日から3か月以内に都道府県知事へ審査請求ができます。裁決は原則50日以内。申請から30日通知がなければ却下とみなせます。期限・手順・審査請求書の記載事項を条文と神奈川県の案内(2026年11月4日確認)で解説します。

生活保護の申請に対して福祉事務所が「却下」の決定をした場合、その決定に不服があれば、都道府県知事に審査請求をすることができます。審査請求には期限があり、原則として決定があったことを知った日の翌日から3か月を過ぎるとできなくなります。本記事では、生活保護法・行政不服審査法・行政事件訴訟法の条文(e-Gov法令検索)と、神奈川県・厚生労働省の案内(いずれも2026年11月4日確認)をもとに、期限、手順、審査請求書に書く事項、改めて申請する場合との違いを順に説明します。
期限の早見表
| 場面 | 期限・期間 | 根拠 |
|---|---|---|
| 申請から決定の通知まで | 原則14日以内。扶養義務者の調査に日時を要する場合など特別な理由があれば30日まで延長でき、その場合は通知書に理由が書かれます。 | 生活保護法24条5項・6項 |
| 申請から30日たっても通知がない | 申請者は、申請が却下されたものとみなすことができます。 | 生活保護法24条7項 |
| 審査請求ができる期間 | 決定があったことを知った日の翌日から3か月以内。かつ、決定があった日の翌日から1年以内。いずれも正当な理由があるときは例外があります。 | 行政不服審査法18条1項・2項 |
| 郵送で出した場合 | 郵送に要した日数は期間に算入されません。 | 行政不服審査法18条3項 |
| 都道府県知事の裁決まで | 審査請求がされた日から50日以内(行政不服審査会等に諮問する場合は70日以内)。この期間内に裁決がなければ、棄却されたものとみなすことができます。 | 生活保護法65条 |
| 知事の裁決に不服がある | 厚生労働大臣に再審査請求ができます。裁決は70日以内。 | 生活保護法66条 |
| 裁判で取り消しを求める | 審査請求の裁決を経た後でなければ訴えを起こせません。出訴期間は裁決があったことを知った日から6か月(裁決の日から1年)。 | 生活保護法69条、行政事件訴訟法14条 |
出典:生活保護法24条・25条・64条〜66条・69条(e-Gov法令検索)/行政不服審査法4条・18条・19条・21条・31条・82条(e-Gov法令検索)/行政事件訴訟法14条(e-Gov法令検索)/行政不服審査 - 神奈川県ホームページ(いずれも2026年11月4日確認)
審査請求の手順
- 却下の通知書を読み直す:保護の決定は書面で通知され、その書面には決定の理由を付けなければならないと定められています(生活保護法24条3項・4項)。また、行政庁は、不服申立てができること・申立て先・期間を書面で教示しなければなりません(行政不服審査法82条)。神奈川県は、処分通知書に「誰に対して」「いつまでに」審査請求ができるかが教示されていると説明しています。まず、却下の理由と教示文(申立て先・期限)を確認します。
- 期限を計算する:通知書を受け取って決定を知った日の翌日から3か月です。通知を受け取った日を記録しておきます。
- 審査請求書を作る:書面で提出するのが原則です(行政不服審査法19条1項)。神奈川県は、審査請求書を2通(正本と副本)作成し、電子メール・FAX・SNSでは提出できないとしています。記載事項は次の章のチェックリストを使います。
- 提出する:審査庁(都道府県知事)に郵送・持参するほか、処分をした福祉事務所を経由して出すこともできます(同法21条)。福祉事務所に提出した時点で審査請求があったものとみなされます(同条3項)。神奈川県の例では、生活保護法に基づく処分の審査請求の担当は福祉子どもみらい局福祉部生活援護課です。
- 審理に参加する:神奈川県の説明では、処分に関与していない職員(審理員)が指名され、処分庁が出した弁明書が審査請求人に送られ、審査請求人はこれに対する反論書を出すことができます。申し立てれば、口頭で意見を述べる機会も与えられます(同法31条)。
- 裁決を受け取る:原則50日以内に裁決があります(生活保護法65条)。不服があれば厚生労働大臣への再審査請求、または裁判所への訴えを検討します。
出典:生活保護法24条・65条(e-Gov法令検索)/行政不服審査法19条・21条・31条・82条(e-Gov法令検索)/行政不服審査 - 神奈川県ホームページ(いずれも2026年11月4日確認)
審査請求書の記載事項チェックリスト
行政不服審査法19条2項が定める記載事項です。神奈川県は、記載がない場合や不十分な場合は補正を求められることがあり、補正しない場合は審理を経ずに却下されることがあると案内しています。
| □ | 記載事項 | 書き方の例(神奈川県の記載例をもとに) |
|---|---|---|
| □ | 審査請求人の氏名・住所または居所 | 押印は不要です。 |
| □ | 審査請求に係る処分の内容 | 処分庁(例:○○市福祉事務所長)が、○年○月○日付けで行った生活保護申請の却下処分 |
| □ | 処分があったことを知った年月日 | 通知書を受け取った日 |
| □ | 審査請求の趣旨 | 処分庁が行った却下処分を取り消すとの裁決を求める。 |
| □ | 審査請求の理由 | 却下の理由のどこが事実と違うか、なぜ違法・不当と考えるか |
| □ | 処分庁の教示の有無と内容 | 通知書に書かれていた教示文の内容 |
| □ | 審査請求の年月日 | 提出する日 |
| □ | (該当する場合)代理人の氏名・住所 | 代理人によって審査請求をする場合(同法19条4項) |
| □ | (該当する場合)期間を過ぎた正当な理由 | 3か月を過ぎてから出す場合(同法19条5項3号) |
申請から30日たっても決定の通知がない場合は、生活保護法24条7項により却下されたものとみなして審査請求をする方法のほか、行政不服審査法3条の「不作為についての審査請求」もあります。神奈川県は、不作為についての審査請求には審査請求期間がないと説明しています。不作為についての審査請求書には、申請の内容と年月日を書きます(同法19条3項)。
出典:行政不服審査法3条・19条(e-Gov法令検索)/生活保護法24条7項(e-Gov法令検索)/行政不服審査 - 神奈川県ホームページ(いずれも2026年11月4日確認)
改めて申請する場合との違い
| 審査請求 | 改めて申請する | |
|---|---|---|
| 求めること | すでに出た却下の決定の取り消し | 新しい申請に対する保護の決定 |
| 判断する機関 | 都道府県知事(審査庁) | 福祉事務所(保護の実施機関) |
| 期限・期間 | 決定を知った日の翌日から3か月以内に請求。裁決は原則50日以内 | 決定の通知は申請から原則14日以内(最長30日) |
| 向いている場面 | 却下の理由が事実と違う、判断に納得できない | 却下のあとで収入・資産・世帯の状況が変わった |
審査請求は、処分の効力や手続きの続行を妨げません(行政不服審査法25条1項)。審査の結果が出るまでの生活が差し迫っている場合は、福祉事務所に現在の状況を伝えて相談してください。生活保護法25条1項は、要保護者が急迫した状況にあるときは、保護の実施機関がすみやかに職権で保護を開始しなければならないと定めています。
厚生労働省は、生活保護の相談・申請窓口は現在お住まいの地域を所管する福祉事務所の生活保護担当で、福祉事務所を設置していない町村にお住まいの方は町村役場でも申請の手続を行うことができるとしています。また、申請書を提出できない特別な事情があれば、申請書がなくても申請することができると案内しています。
出典:行政不服審査法25条(e-Gov法令検索)/生活保護法24条・25条(e-Gov法令検索)/生活保護制度 |厚生労働省(いずれも2026年11月4日確認)
相談先
- 都道府県の生活保護の担当課:審査請求書の提出先・様式の確認。却下の通知書の教示文に記載された提出先を確認します。
- 法テラス:審査請求や訴訟について弁護士に相談したい場合。サポートダイヤル 0570-078374。日本司法支援センター
- 自立相談支援機関:審査の結果を待つ間の家計や住まいの相談。生活困窮者自立支援制度(厚生労働省)
申請の流れと準備は生活保護の申請の実際に、車や持ち家がある場合の扱いは生活保護と車・持ち家に、法テラスの使い方は法テラスの利用方法にまとめています。
この記事の執筆者
マネーガイドジャーナル編集部
金融関連の情報サイトについて多数の運営実績を持つ編集チームです。株式・不動産・FXなど幅広い金融資産の運用経験と、外資系ITコンサルティングファームで金融機関の案件に従事した実務経験をもとに、公式サイト・公的機関の一次情報を確認しながら記事を制作しています。
- 掲載情報は、公式サイト・政府広報・金融庁等の一次情報で確認し、確認日を記載しています
- 確認できなかった情報は「確認できず」と記載し、推測による断定は行いません
- 特定のサービスの利用を勧めることはせず、リスクと公的な相談先をあわせて掲載しています


