葬儀費用が払えないとき|埋葬料・葬祭費の申請先と期限、生活保護の葬祭扶助
葬儀費用が払えないときは、故人の保険で埋葬料(協会けんぽ5万円)や葬祭費(横浜市5万円)を申請でき、期限はおおむね2年です。困窮している場合や身寄りがない場合の生活保護の葬祭扶助は、葬儀の前に福祉事務所へ相談します(2026年11月4日確認)。

葬儀の費用を用意できないときに最初に確認するのは、亡くなった方がどの公的医療保険に入っていたかです。健康保険なら埋葬料、国民健康保険や後期高齢者医療制度なら葬祭費が、申請により支給されます。葬儀を行う方自身が生活に困窮している場合や、身寄りのない方が亡くなった場合は、生活保護法の葬祭扶助の対象になることがあります。本記事では、法令(e-Gov法令検索)と協会けんぽ・横浜市・青梅市・厚生労働省の公開情報(いずれも2026年11月4日確認)をもとに、給付の種類と申請の順番を整理します。
故人が入っていた保険・制度ごとの給付一覧
国民健康保険と後期高齢者医療の葬祭費は、市区町村や後期高齢者医療広域連合が条例で定めます(国民健康保険法58条、高齢者の医療の確保に関する法律86条)。下表の国保・後期高齢者の欄は横浜市の例です。
| 故人が入っていた制度 | 給付 | 受け取る方 | 支給額 | 申請先 | 期限 |
|---|---|---|---|---|---|
| 健康保険(協会けんぽ)の被保険者本人 | 埋葬料 | 被保険者により生計を維持されていた方 | 50,000円 | 加入していた協会けんぽの支部 | 2年(健康保険法193条) |
| 同上(埋葬料を申請できる方がいない場合) | 埋葬費 | 実際に埋葬を行った方 | 50,000円の範囲内で、実際に埋葬に要した費用 | 同上 | 同上 |
| 健康保険(協会けんぽ)の被扶養者 | 家族埋葬料 | 被保険者 | 50,000円 | 同上 | 同上 |
| 国民健康保険(横浜市・74歳以下) | 葬祭費 | 葬祭を行った方 | 5万円 | 亡くなった方が住んでいた区の区役所保険年金課 | 葬祭を行ってから2年 |
| 後期高齢者医療(横浜市・神奈川県後期高齢者医療広域連合) | 葬祭費 | 葬祭を行った方(喪主) | 5万円 | 亡くなった方が住んでいた区の区役所保険年金課保険係 | 葬祭を行った日の翌日から2年 |
| (制度を問わず)葬祭を行う方が困窮している、または身寄りがない場合 | 葬祭扶助(生活保護法18条) | 葬祭を行う方 | 上限あり(保護の基準による) | 福祉事務所 | 葬祭を行う前に相談 |
協会けんぽは、埋葬費の「実際に埋葬に要した費用」を、霊柩車代、霊柩運搬代、霊前供物代、火葬料、僧侶の謝礼等の実費額としています。また「生計を維持されていた方」は、被保険者によって生活費の一部でも維持されている方であればよく、民法上の親族や遺族であることは問われないと説明しています。
出典:埋葬料・埋葬費|給付と手続き|協会けんぽ/葬祭費の支給(横浜市・国民健康保険)/葬祭費の支給(横浜市・後期高齢者医療)/健康保険法100条・113条・193条/国民健康保険法58条/高齢者の医療の確保に関する法律86条(e-Gov法令検索)(2026年11月4日確認)
亡くなる直前に勤め先の健康保険をやめていた場合
亡くなった時点で国民健康保険に入っていても、以前に加入していた健康保険から埋葬料が支給される場合があります。横浜市は、次のいずれかに当たる場合は以前の健康保険に問い合わせるよう案内しています。
- 死亡前3か月以内に、以前に加入していた健康保険に被保険者本人として加入していた
- 死亡時または死亡前3か月以内に、以前の健康保険から傷病手当金の継続給付を受けていた
- 死亡時または死亡前3か月以内に、以前の健康保険から出産手当金の継続給付を受けていた
横浜市のQ&Aは、健康保険から支給された場合は国民健康保険からは支給されないとしています。協会けんぽ側でも、資格喪失後3か月以内に亡くなった場合などに埋葬料・埋葬費を支給する一方、資格喪失後に加入した健康保険で埋葬料を請求している場合は支給しないとしています。どちらに申請するか迷う場合は、先に以前の健康保険へ確認してください。
出典:葬祭費の支給(横浜市)/国民健康保険では、葬祭費の申請はどうすればいいですか(横浜市Q&A)/埋葬料・埋葬費|協会けんぽ(2026年11月4日確認)
申請の期限と必要書類
いずれの給付も、葬儀の後に申請します。期限はおおむね2年ですが、起算点は制度ごとの書き方が異なります。
- 協会けんぽ(埋葬料・埋葬費・家族埋葬料):「健康保険埋葬料(費)支給申請書」を加入していた協会けんぽの支部に提出します。協会けんぽは、日本年金機構での資格喪失・扶養解除の処理が完了してからの支給になるとしています。勤め先には保険証・資格確認書を返却し、事業主が資格喪失届等を提出します。給付を受ける権利は、行使できる時から2年で時効により消滅します(健康保険法193条)。
- 国民健康保険の葬祭費(横浜市):申請する方の本人確認書類、喪主の確認ができる書類(葬儀店の領収書、請求書、会葬礼状、火葬代の領収書、火葬・埋葬(土葬)証明書等)、振込先の通帳などの控えを持って、亡くなった方が住んでいた区の保険年金課で申請します。葬祭を行ってから2年で時効になります。
- 後期高齢者医療の葬祭費(横浜市):申請書、亡くなった方の資格確認書または資格情報のお知らせ(返却済みなら不要)、振込先の通帳、喪主の氏名・亡くなった方の氏名・葬祭日が分かるもの(会葬礼状、葬儀の領収書など)が必要です。神奈川県後期高齢者医療広域連合は、火葬のみ・埋葬のみでも支給対象とし、その場合は火葬代の領収書や火葬執行証明済の埋火葬許可証などと申立書を求めています。葬祭を行った日の翌日から2年を過ぎると申請できません。
領収書や会葬礼状は申請に使うため、葬儀社から受け取ったものは保管しておいてください。
出典:埋葬料・埋葬費|協会けんぽ/葬祭費の支給(横浜市・国民健康保険)/葬祭費の支給(横浜市・後期高齢者医療)/健康保険法193条(e-Gov法令検索)(2026年11月4日確認)
葬祭扶助の条件:誰が申請し、いつ相談するか
葬祭扶助は、検案、死体の運搬、火葬または埋葬、納骨その他葬祭のために必要なものの範囲内で行われます(生活保護法18条1項)。原則として金銭給付で、保護金品は葬祭を行う方に交付されます(同法37条)。対象になるのは、大きく分けて次の3つの場合です。青梅市の案内では、次のように整理されています。
| 場合 | 根拠 | 判定のしかた(青梅市の案内) |
|---|---|---|
| ①扶養義務者(親族)が葬儀を行うが、生活に困窮していて費用を出せない | 生活保護法18条1項 | 葬儀を行う親族の世帯について保護の要否を判定し、保護が必要となれば葬祭費用を支給 |
| ②生活保護を受けていた方が亡くなり、扶養義務者でない方(知人等)が葬儀を行う | 同法18条2項1号 | 葬儀を行う方の資力等にかかわらず適用 |
| ③生活保護を受けていなかった方が亡くなり、扶養義務者がおらず、扶養義務者でない方が葬儀を行う(遺留金品で費用を満たせない場合) | 同法18条2項2号 | 葬儀を行う方の資力等にかかわらず適用 |
青梅市は、②について、生前に本人から葬祭執行者を知人のどなたにするか申し出がないと、死後に知人等から申し出があっても個人情報保護の観点から対応できないとしています。
葬儀の前に福祉事務所へ
18条2項の葬祭扶助を申請する方は、申請者の氏名・住所、亡くなった方の氏名・生年月日・死亡年月日・死亡時の住所と葬祭を行う方との関係、葬祭を行うために必要とする金額、2号の場合は遺留の金品の状況を書いた申請書を、保護の実施機関に提出します(生活保護法施行規則1条5項)。2号の場合の提出先は、亡くなった方の生前の居住地または現在地の実施機関です。
青梅市は、葬祭を行う前に事前に相談すること、支給される葬祭費用は葬祭扶助の上限額以内で行うこと、亡くなった方の所持金は葬祭費用に充て、それでも不足する場合に葬祭扶助(上限あり)を支給することを案内しています。同市では葬祭扶助を市から葬祭業者へ振り込む運用としています。生活保護の相談・申請窓口は、住んでいる地域を所管する福祉事務所の生活保護担当です(福祉事務所を設置していない町村では町村役場でも申請の手続ができます)。
出典:生活保護法18条・37条/生活保護法施行規則1条5項(e-Gov法令検索)/身寄りがない方が亡くなった場合の支援(青梅市)/生活保護制度|厚生労働省(2026年11月4日確認)
相続放棄を考えているとき
亡くなった方に借金があり、相続放棄を考えている場合は、故人の預金などから葬儀費用を払う前に、亡くなった家族に借金があった場合の対応(相続放棄・限定承認と3ヶ月の期限)の注意点を確認してください。同記事のとおり、遺産にかかわる行為の前に弁護士・司法書士や法テラスへ相談することをおすすめします。
相談先
- 以前・現在の健康保険(協会けんぽの支部、健康保険組合):埋葬料・埋葬費・家族埋葬料。
- 市区町村の国民健康保険・後期高齢者医療の担当:葬祭費。申請先は亡くなった方が住んでいた市区町村です(横浜市の例)。
- 福祉事務所(生活保護担当):葬祭扶助。葬儀社と契約する前に相談します。
- 法テラス:相続や借金の法律相談。法テラス・サポートダイヤル 0570-078374。日本司法支援センター(法テラス)
生活費全体が足りない場合は生活保護の申請も参考にしてください。
この記事の執筆者
マネーガイドジャーナル編集部
金融関連の情報サイトについて多数の運営実績を持つ編集チームです。株式・不動産・FXなど幅広い金融資産の運用経験と、外資系ITコンサルティングファームで金融機関の案件に従事した実務経験をもとに、公式サイト・公的機関の一次情報を確認しながら記事を制作しています。
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