罰金・交通反則金が払えないとき|労役場留置と分納の可否
交通反則金は分納できず、期限を過ぎても通告を受けて納める機会があります。罰金は期間内の一括納付が原則で、納めないと強制執行や労役場留置(1日以上2年以下)の対象です。道路交通法・刑法と警視庁・検察庁の案内(2026年11月4日確認)で違いと流れを解説します。

交通違反で渡される「反則金」と、裁判で言い渡される「罰金」は、名前が似ていても性質が異なります。反則金は納めれば刑事手続に進まずに終わる制度で、期限までに納められなくても、改めて通告を受けて納める機会があります。罰金は刑罰そのもので、検察庁は分割ではなく期間内の一括納付を原則としており、納められないと財産への強制執行や労役場留置の対象になります。本記事では、道路交通法・刑法・刑事訴訟法の条文(e-Gov法令検索)と、警視庁・検察庁の案内(いずれも2026年11月4日確認)をもとに説明します。
反則金と罰金の違い
| 項目 | 交通反則金 | 罰金 |
|---|---|---|
| 性質 | 反則者が交通反則通告制度の適用を受けるために国に納める金銭(道路交通法125条3項)。刑罰ではありません | 裁判により科される刑罰(検察庁の案内) |
| きっかけ | 警察官から交通反則告知書(青キップ)と納付書を受け取る | 裁判の確定後、検察庁から納付の通知が届く |
| 期限 | 仮納付は告知の翌日から7日以内。通告を受けた場合は通告の翌日から10日以内 | 検察庁が定める期間内 |
| 分割 | 分納はできません(警視庁) | 期間内に一括して納付(検察庁)。納付できないときは通知をした検察庁の徴収事務担当者に相談 |
| 納めないと | 刑事訴訟手続(少年は少年審判手続)で処理される | 財産への強制執行。強制執行すべき財産がなければ労役場留置 |
出典:道路交通法125条〜130条(e-Gov法令検索)/反則金の納付(警視庁)/裁判の執行等について(検察庁 Q&Aコーナー)(2026年11月4日確認)
反則金を期限内に払えなかったときの流れ
警視庁の案内と道路交通法の条文にもとづく流れは次のとおりです。東京都以外でも制度は同じ法律にもとづきますが、出頭先や納付書の郵送時期は、告知を受けた地域の都道府県警察の案内を確認してください。
- 告知(青キップ):警察官から交通反則告知書と納付書を受け取ります。交通反則通告制度の適用を受けるか拒否するかは、違反をした方が選択します(警視庁「交通反則通告制度」)。
- 仮納付の期間:告知を受けた日の翌日から起算して7日以内に、納付書で金融機関(銀行・信用金庫・郵便局)に納めることができます(道路交通法129条1項)。この期間に納めた方は、出頭する必要はありません。
- 7日以内に納められなかった場合:警視庁は、出頭指定日に通告センターへ出頭するよう案内しています。出頭すると通告を受け、新しい納付書を受け取れます。青キップ、期限が過ぎた納付書または運転免許証を持参します。代理の方も出頭できます。
- 出頭できない場合:警視庁では、青キップの告知からおおむね40日後に、反則金相当額と送付費用を合わせた納付書が郵送されます。通告書の送付費用をあわせて納めることは、道路交通法127条1項に定められています。
- 通告後の納付期限:通告を受けた日の翌日から起算して10日以内です(同法128条1項)。政令で定めるやむを得ない理由で納められなかった場合は、その事情がやんだ日の翌日から10日以内とされています。
- それでも納めなかった場合:反則金を納めた方は公訴を提起されず、家庭裁判所の審判にも付されません(同法128条2項)。納付期間が過ぎても納めなかった場合は、刑事訴訟手続または少年審判手続で処理されることになります(同法130条、警視庁「反則金の納付」)。
警視庁は、反則金の分納はできないこと、小切手・収入印紙などの有価証券での納付や、通告センターへの現金書留などによる郵送での納付はできないことも案内しています。納付書を紛失した場合は、警察署または通告センターで再交付を受けられます。
出典:交通反則通告制度(警視庁)/反則金の納付(警視庁)/道路交通法127条〜130条(e-Gov法令検索)(2026年11月4日確認)
罰金の納付と労役場留置
罰金は1万円以上と定められ(刑法15条)、検察庁は「罰金は裁判により刑罰として科せられたもの」であり、所定の期間内に検察庁に納付しなければならないと説明しています。罰金の裁判は検察官の命令によって執行され、この命令は執行力のある債務名義と同一の効力を持ちます(刑事訴訟法490条)。
分割で納められるか
検察庁のQ&Aは、罰金は刑罰であるため「定められた期間内に一括して納付しなければなりません」としたうえで、期間内に納付できないときは、納付の通知をしている検察庁の「徴収事務担当者」に尋ねるよう案内しています。同Q&Aには、分割が認められる条件は示されていません。期限前に、通知をした検察庁へ連絡することが出発点になります。
納めないとどうなるか
検察庁によると、任意に納付しない場合は財産に対して強制執行が行われ、強制執行すべき財産がない場合には労役場に留置されます。労役場留置とは、資力がないなどの理由で罰金・科料を納めない人を、刑事施設内の労役場に留置して作業をさせることです。
- 期間:罰金を完納できない人は、1日以上2年以下の期間、労役場に留置されます(刑法18条1項)。留置の期間は罰金の言渡しと同時に裁判で定められます(同条4項)。
- 換算:検察庁は、現在多くの裁判で1日の留置を罰金5,000円相当と換算しており、その場合、罰金20万円であれば40日間になると説明しています。
- 確定直後:裁判が確定した後30日以内は、本人の承諾がなければ留置の執行はできません(同条5項)。
- 一部を納めた場合:留置の日数は、残額を留置1日の割合に相当する金額で割った日数になります(同条6項)。
出典:裁判の執行等について(検察庁 Q&Aコーナー)/刑法15条・18条(e-Gov法令検索)/刑事訴訟法490条(e-Gov法令検索)(2026年11月4日確認)
よくある質問
罰金を払うためにお金を借りたり、自己破産したりすることは考えられますか
罰金・科料などの「罰金等の請求権」は、破産法253条1項7号により、免責許可の決定が確定しても責任を免れない請求権とされています。自己破産をしても罰金の納付義務は残ります。借入れを検討する前に、まず通知をした検察庁の徴収事務担当者に納付について相談してください。借入れが重なっている場合の整理は借金の相談窓口の違いを参考にしてください。
納めた罰金は確定申告で控除できますか
検察庁のQ&Aでは、納付した罰金は確定申告の控除の対象にならないとされています。
反則金の納付書をなくしました
警視庁の場合、納付期限内であれば、き損した納付書または告知書を持参し、管内の警察署または通告センターで再交付を受けられます。期限が過ぎた場合は、上の流れのとおり通告センターへの出頭、または郵送される納付書で納めます。
出典:破産法253条(e-Gov法令検索)/裁判の執行等について(検察庁 Q&Aコーナー)/反則金の納付(警視庁)(2026年11月4日確認)
相談先
- 反則金:告知を受けた都道府県警察の通告センター(警視庁は池袋通告センター 03-5954-3000、立川通告センター 042-524-0110、いずれもテレホンサービス)。
- 罰金:納付の通知をした検察庁の徴収事務担当者。
- 法テラス:刑事手続や借金の整理に関する法律相談の窓口案内。法テラス・サポートダイヤル 0570-078374(平日9時〜21時、土曜9時〜17時)。日本司法支援センター(法テラス)
ほかの支払いも重なっている場合は複数の支払いが苦しいときの優先順位で全体を整理できます。
この記事の執筆者
マネーガイドジャーナル編集部
金融関連の情報サイトについて多数の運営実績を持つ編集チームです。株式・不動産・FXなど幅広い金融資産の運用経験と、外資系ITコンサルティングファームで金融機関の案件に従事した実務経験をもとに、公式サイト・公的機関の一次情報を確認しながら記事を制作しています。
- 掲載情報は、公式サイト・政府広報・金融庁等の一次情報で確認し、確認日を記載しています
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