大学・専門学校の授業料が払えない|家計急変採用・在学採用・学校の延納を状況別に整理
授業料が払えないときは、急な家計急変なら修学支援新制度の家計急変採用(随時)、もともと所得が低いなら春・秋の在学採用、納期限に間に合わないだけなら在籍校の延納・分納を確認します。文部科学省・JASSOの公式情報(2026年11月4日確認)で状況別に整理しました。

大学・短期大学・高等専門学校・専門学校の授業料が払えないときに使える公的な仕組みは、国の「高等教育の修学支援新制度」(授業料・入学金の減免+返還不要の給付型奨学金)、日本学生支援機構(JASSO)の貸与奨学金、在籍校が独自に設けている延納・分納・免除の3つに大きく分かれます。どれを使えるかは、家計が苦しくなった理由と時期で変わります。本記事では、文部科学省とJASSOの公式ページ(いずれも2026年11月4日確認)をもとに、状況ごとに使う制度と申請の時期を整理します。
まず、自分がどの状況に当たるかを確認する
| 状況 | 主に使う制度 | 申請の時期 | 窓口 |
|---|---|---|---|
| A. 親の死亡・病気・失職などで急に家計が苦しくなった | 修学支援新制度の家計急変採用(授業料等減免+給付奨学金)、貸与奨学金の緊急採用・応急採用 | 年間を通じて随時 | 在籍校の奨学金窓口 |
| B. もともと世帯の所得が低い・子どもが3人以上いる | 修学支援新制度(定期の在学採用) | 原則、毎年春と秋 | 在籍校の奨学金窓口 |
| C. 収入はあるが、今回の納期限に間に合わない | 在籍校の延納・分納・徴収猶予(制度の有無は学校ごと) | 学校が定める期限 | 在籍校の学生課・会計課など |
| D. 上記の対象外で、世帯全体の収入が少ない | 生活福祉資金の教育支援資金(無利子の貸付) | 市区町村の社会福祉協議会に相談 | 市区町村の社会福祉協議会 |
当てはまる状況が複数ある場合は、それぞれの窓口で確認してください。以下、状況ごとに説明します。
A. 急に家計が苦しくなった:家計急変採用(申込みは随時)
修学支援新制度は、通常は前年の所得(住民税の課税情報)で対象かどうかを判定します。文部科学省は、予期できない事由で家計が急変し、急変後の収入が住民税に反映される前に緊急に支援が必要な場合は、急変後の所得の見込みで要件を満たすことが確認できれば支援対象にするとしています。
対象になる急変の事由
JASSOの案内では、家計急変の事由は次の5つです。事由に対応する証明書類を提出できる場合のみ申し込めます。
- 事由A:生計維持者の死亡
- 事由B:生計維持者が事故または病気により、3か月以上、就労が困難
- 事由C:生計維持者が失職(非自発的失業の場合に限る)
- 事由D:生計維持者が震災、火災、風水害等に被災
- 事由E:学生本人が父母等による暴力等から避難
文部科学省の資料では、失業について、定年退職や正当な理由のない自己都合退職などの自発的失業は含まないとされています。事由Eは公的機関による保護証明書が必要です。
申請の時期
- 進学後に事由が起きた場合:年間を通じて随時受け付けます。支給開始は申し込んだ月からのため、JASSOは事由発生後は速やかに申し込むよう案内しています。
- 進学前に事由が起きていた場合:進学後3か月以内に申し込めば、進学した月から支給されます。JASSOの例では、2026年4月進学なら2026年6月30日まで、2026年10月進学なら2026年12月31日までです。
授業料の減免は学校が行う
修学支援新制度は、授業料・入学金の減免と給付型奨学金がセットです。給付型奨学金はJASSOが支給し、授業料・入学金の減免は在籍する大学等が行います。文部科学省の資料では、JASSOが認定した学生は、授業料等減免の対象者として認定を受けることができる者とみなされます。申込みは在籍校の奨学金窓口を通して行い、在籍校が対象機関(確認大学等)であることが必要です。
家計急変採用の後は、3か月ごと(提出済みの収入証明書類が12か月分以上になった後は1年ごと)に支援区分が見直されます。
貸与奨学金の緊急採用・応急採用
返還が必要な貸与奨学金にも、家計急変時の枠があります。緊急採用は第一種奨学金(無利子)、応急採用は第二種奨学金(有利子)です。こちらも随時受け付けますが、申込期限があります。事由が進学前に起きた場合は進学後3か月以内、進学後に起きた場合は事由が発生した日から12か月以内です。
出典:(資料7)家計が急変した学生への支援について(文部科学省)/家計急変採用-給付奨学金(返還不要)(JASSO)/給付奨学金(家計急変採用)申込みから採用後の流れ(JASSO)/家計急変採用-給付奨学金(返還不要)の申込み方法(JASSO)/緊急採用・応急採用-貸与奨学金(返還必要)(JASSO)/貸与奨学金(緊急採用・応急採用)申込みから採用後の流れ(JASSO)(いずれも2026年11月4日確認)
B. もともと所得が低い:定期の在学採用(原則、春と秋)
家計急変ではなく、前年の所得の段階で住民税非課税世帯やそれに準ずる世帯に当たる場合は、通常の在学採用に申し込みます。JASSOは、貸与奨学金・給付奨学金とも原則として毎年春と秋に奨学生を募集し、希望者は在籍校の奨学金窓口に申し出るよう案内しています。文部科学省の資料では、通常の申込みは年2回(4月始期分・10月始期分)です。予約採用で不採用になった方も、再度申し込めます。
令和6年度からは、世帯年収約600万円(目安)までの世帯のうち、子ども3人以上を扶養する多子世帯や私立の理工農系の学部等に通う学生に対象が広がりました。令和7年度からは、多子世帯の学生について、所得制限なく、国が定める一定額まで授業料・入学金を減免しています(文部科学省)。
文部科学省の資料に示された支援額の例(住民税非課税世帯の場合)は次のとおりです。準ずる世帯は2/3または1/3で、短期大学・高専・専門学校は額が異なります。
| 区分 | 入学金の減免 | 授業料の減免 | 給付型奨学金(自宅生) | 給付型奨学金(自宅外生) |
|---|---|---|---|---|
| 国公立大学 | 約28万円 | 約54万円 | 約35万円 | 約80万円 |
| 私立大学 | 約26万円 | 約70万円 | 約46万円 | 約91万円 |
出典:高等教育の修学支援新制度(文部科学省)/(資料7)家計が急変した学生への支援について(文部科学省)/申込手続きについて(在学採用)(JASSO)(いずれも2026年11月4日確認)
C. 今回の納期限に間に合わない:在籍校の延納・分納・徴収猶予
一時的に納期限までに用意できないだけの場合は、在籍校が独自に設けている延納(納期限の延長)・分納・徴収猶予を確認します。制度があるか、対象、申請の締切は学校ごとに異なります。学費の案内や学生便覧を確認し、納期限より前に学生課・会計課などに相談してください。納期限を過ぎてからでは申請できない制度もあります。
例として京都大学は、経済的理由などで納付が困難な学生向けに授業料の免除(全額または半額)、入学料の免除と徴収猶予を設けています。入学料免除(徴収猶予)の出願者は、免除結果が出るまでその期の入学料の納付が猶予されるとしています。一方で、日本人学部学生の入学料・授業料免除は修学支援新制度で行い、新制度の申請資格を満たすのに大学独自の制度だけに申請することは認めていません。このように、大学独自の制度は新制度を補う位置づけになっていることがあるため、新制度の申請と学校独自の制度の申請を並行して確認するのが確実です。
出典:授業料の免除/入学料の免除と徴収猶予(京都大学)(2026年11月4日確認)
D. 制度の対象外で、世帯全体の収入が少ない:教育支援資金
都道府県社会福祉協議会が実施する生活福祉資金貸付制度には、教育支援資金があります。厚生労働省の案内では、貸付対象は低所得者世帯(必要な資金を他から借り受けることが困難な世帯・市町村民税非課税程度)などで、教育支援資金は無利子です。貸付の決定には償還の可能性も考慮されます。相談は住まいの市区町村社会福祉協議会で受け付けています。制度の全体は社会福祉協議会の貸付で解説しています。
出典:生活福祉資金貸付制度(厚生労働省)(2026年11月4日確認)
申し込む前の確認リスト(A・B共通)
- 在籍校が対象機関か:文部科学省の「修学支援新制度の確認大学等の一覧(対象機関リスト)」で確認します。
- 証明書類:家計急変採用では、事由の証明書と、事由発生後の収入を示す書類(給与明細書、年金の通知書、自営業の場合は帳簿とJASSO所定の「自営業等の所得金額計算書」など)が必要です。JASSOは、通帳のコピーは給与明細書等に代わる収入証明書類とは認められないとしています。
- マイナンバーの提出:インターネットで提出し、その後「奨学金確認書兼地方税同意書」を学校を通さずJASSOへ直接郵送します。
- 所得の申告漏れ:賞与や副業・不動産などの所得もすべて申告が必要です。JASSOは、後日虚偽の申告が判明したときは、支給済みの奨学金(最大1.4倍)の一括返金が必要となる場合があるとしています。
出典:家計急変採用-給付奨学金(返還不要)の申込み方法(JASSO)/(資料10)支援措置の対象となる学生の認定手続について(文部科学省)(いずれも2026年11月4日確認)
授業料以外のお金や、奨学金の返還が難しいとき
生活費全般の相談先や学生が狙われやすい手口は学生でお金がないときに、卒業後の奨学金の返還が難しい場合の減額・猶予は奨学金の減額返還・返還期限猶予の申請にまとめています。授業料を払うために、カードの現金化や個人間の貸し借りなど出どころのはっきりしない資金に頼ることは避け、まず在籍校の窓口に相談してください。
この記事の執筆者
マネーガイドジャーナル編集部
金融関連の情報サイトについて多数の運営実績を持つ編集チームです。株式・不動産・FXなど幅広い金融資産の運用経験と、外資系ITコンサルティングファームで金融機関の案件に従事した実務経験をもとに、公式サイト・公的機関の一次情報を確認しながら記事を制作しています。
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