奨学金の返還期限猶予・減額返還の申請手順ガイド
奨学金の返還が苦しいときはJASSOの返還期限猶予・減額返還を延滞前に申請するのが基本です。二つの制度の使い分けと申請の流れ、注意点、相談先をまとめました。

奨学金の返還は長期間にわたるため、その間に失業や転職、病気、収入の減少など、返すのが苦しい時期が訪れることは珍しくありません。そんなとき、延滞する前に検討したいのが、日本学生支援機構(JASSO)が用意している「返還期限猶予」と「減額返還」という二つの救済制度です。この記事では、それぞれの制度の考え方と、申請の基本的な流れ、申請時の注意点を解説します。制度の対象条件や必要書類の細部は変わることがあるため、実際に申請する際は必ずJASSO公式サイトで最新情報を確認してください。
返還が苦しいときに使えるJASSOの二つの制度
ここで取り上げるのは、返す必要のある貸与型奨学金についての制度です。返還期限猶予と減額返還は、どちらも「返還の義務そのものは残るが、いまの負担を軽くする」ための仕組みで、災害・傷病・経済困難・失業といった事情がある人が申請できます。どちらも自分から願い出て、審査のうえで承認されて初めて適用されるという点が共通しています。まずはそれぞれの中身を見ていきましょう。
返還期限猶予とは
返還期限猶予は、災害、傷病、経済困難、失業などの事情で返還が困難になった場合に、返還の期限を先送りにしてもらう制度です。承認された期間中は返還が一時的に止まり、その分だけ返還終了の時期が後ろにずれる形になります。返還すべき総額が免除されるわけではありませんが、「いまは返せない」時期をしのぐための重要な選択肢です。適用には収入などの条件があり、承認される期間や通算の上限も定められています。詳細はJASSO公式サイトで確認してください。
減額返還とは
減額返還は、毎月の返還額を減らし、その分返還期間を延ばす制度です。「まったく返せないわけではないが、いまの月額は重い」という人に向いています。返還を続けながら負担を軽くできるため、生活を維持しつつ延滞を防ぐことができます。減額できる割合の選択肢や適用の条件・期間は制度改正で見直されることがあるため、最新の内容はJASSO公式サイトで確認しましょう。
どちらを選ぶ?考え方の目安
二つの制度の使い分けは、シンプルに言えば「いま毎月いくらなら無理なく返せるか」で考えます。収入が途絶えている、あるいは生活費を削らないと返還できない状態であれば、返還を止める返還期限猶予が候補になります。一方、収入はあるものの現在の月額が家計を圧迫しているなら、減額返還で月々の負担を下げて返還を続ける方が、返還終了時期の遅れを小さくできます。
どちらの制度も、返還すべき元金がなくなるわけではない点は共通です。また、状況が変われば制度を切り替えることも考えられます。たとえば失業直後は返還期限猶予を利用し、再就職して収入が安定してきたら減額返還に移行し、最終的に通常の返還に戻す、といった段階的な使い方です。自分の状況でどの選択ができるかは、JASSOの相談窓口や公式サイトで確認してください。
申請の基本的な流れ
ステップ1:自分の状況と制度の条件を確認する
まず、JASSO公式サイトで返還期限猶予・減額返還それぞれの対象となる事由(経済困難、失業、傷病、災害など)と収入の基準を確認し、自分がどの事由に当てはまりそうかを整理します。奨学金の種類(貸与型の第一種・第二種など)や返還方式によって取り扱いが異なる場合もあります。
あわせて、自分の返還状況(残額や毎月の返還額、これまでの返還履歴)も確認しておくと、その後の判断がしやすくなります。返還状況はJASSOのインターネットサービス「スカラネット・パーソナル」で確認できます。
ステップ2:必要書類を準備する
申請には、願出の書類に加えて、事由を証明する書類(収入に関する証明、離職を証明する書類、診断書など、事由に応じたもの)が必要になります。マイナンバーの提出により一部の証明書類が省略できる取り扱いが案内されている場合もあります。何が必要かは事由や申請方法によって変わるため、JASSO公式サイトの案内に沿って準備してください。
ステップ3:申請書類を提出する
申請は、JASSOのインターネットサービス「スカラネット・パーソナル」からの手続き、または郵送による書類提出で行うのが基本です。利用できる申請方法や提出先は制度・時期によって異なることがあるため、最新の案内に従いましょう。提出後は審査が行われ、承認されると猶予や減額が適用されます。審査には時間がかかることがあるので、返還が苦しくなりそうだと分かった時点で、早めに動き始めることが大切です。
ステップ4:適用後も更新を忘れない
猶予や減額の適用には期間の区切りがあり、事情が続く場合は改めて願出が必要になるのが一般的です。適用期間の終わりが近づいたら、継続の手続きを忘れないようにカレンダーなどに記録しておきましょう。
申請時の注意点
- 延滞する前に申請する——すでに延滞があると、そのままでは制度を利用できない場合があります。延滞してしまっている場合の取り扱いも含め、まずJASSOに相談してください。放置して延滞が続くと、延滞金の発生や信用情報機関への登録、その後の督促・法的手続きにつながるおそれがあります。
- 自動的には適用されない——収入が減っても、申請しない限り猶予も減額も適用されません。「苦しくなったら自分から願い出る」制度であることを覚えておきましょう。
- 書類の不備に注意する——証明書類の不足や記入漏れがあると、審査が進まず、その間に返還期日が来てしまうことがあります。提出前にチェックリストで確認しましょう。
- 保証人にも影響し得る——人的保証を選んでいる場合、延滞が続くと連帯保証人・保証人に請求が及ぶことがあります。家族に影響を広げないためにも、早めの申請が大切です。
- 住所や連絡先の変更届を忘れない——引越しや転職でJASSOからの郵便物が届かなくなると、重要な通知や更新の案内を見逃し、意図せず延滞につながるおそれがあります。連絡先が変わったら速やかに届け出ておきましょう。
猶予・減額でも難しいときの相談先
返還期限猶予や減額返還を使っても生活が立ち行かない場合や、奨学金以外にも借金があって返済全体が回らなくなっている場合は、より広い視点での相談が必要です。奨学金の制度そのものについてはJASSOの相談窓口へ。借金全体の整理(債務整理など法的な調整手段の検討)については法テラス(0570-078374)へ。生活のこと全般については市区町村の窓口(生活困窮者自立支援の相談窓口など)へ。貸金業者からの借入れが絡む場合は日本貸金業協会の貸金業相談・紛争解決センター(0570-051-051)も利用できます。複数の支払いが重なって苦しいときの考え方は支払いの優先順位の記事も参考にしてください。
まとめ:延滞する前に「願い出る」ことがいちばんの防御
奨学金の返還が苦しいとき、JASSOには返還を一時的に止める「返還期限猶予」と、月々の負担を軽くして返還を続ける「減額返還」という二つの制度があります。どちらも申請して初めて適用されるものであり、延滞してから動くより、苦しくなりそうな段階で願い出る方が選択肢は広がります。条件や必要書類、申請方法の細部は変わることがあるため、必ずJASSO公式サイトで最新情報を確認したうえで手続きを進めてください。そして、奨学金だけの問題ではなく家計全体が行き詰まっているなら、法テラスや市区町村の窓口など公的な相談先を早めに頼りましょう。延滞を放置しないこと、一人で抱え込まないことが、生活と将来を守る基本です。
この記事の執筆者
マネーガイドジャーナル編集部
金融関連情報サイトの運営実績を多数持つ編集チーム。株式・不動産・FXなど幅広い金融資産の運用経験と、外資系ITコンサルティングファームで金融機関の案件に従事した実務経験をもとに、公式サイト・公的機関の一次情報を確認しながら記事を制作しています。
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