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家賃保証会社から督促が来たら|立替後の請求と「追い出し」行為の限界

家賃保証会社からの督促は、家主に立て替えた家賃の請求(求償)です。一方、鍵の付け替えによる締め出しや無断の家財処分は自力救済として違法と国土交通省は説明し、最高裁は令和4年12月12日、いわゆる追い出し条項を消費者契約法10条に当たると判断しました。登録業者の確かめ方と相談先も整理します(2026年11月1日確認)。

家賃保証会社から督促が来たら|立替後の請求と「追い出し」行為の限界

家賃を滞納して保証会社から督促が来るのは、多くの場合、保証会社が家主に家賃を立て替えて支払い、その分を入居者に請求しているためです。立て替えた分を請求すること自体は民法上の権利(求償権)ですが、鍵を付け替えて締め出す、無断で部屋に入る、荷物を運び出すといった行為は、国土交通省が「自力救済として違法」と説明しています。また最高裁は令和4年12月12日、保証会社の契約書にあった、いわゆる「追い出し条項」を消費者契約法10条に当たると判断しました。本記事では、国交省・最高裁・e-Gov法令検索の公開情報(いずれも2026年11月1日確認)をもとに、保証会社からの請求で何が正当で、どこからが許されないのかを整理します。

結論

  • 請求は正当:保証会社が家主に立て替えた家賃は、入居者が保証会社に支払う義務があります(民法459条の求償権)。
  • 締め出しや荷物の処分は違法:国交省の相談対応事例集は、鍵の付け替えによる締め出しを「自力救済行為として違法」、無断の家財処分には損害賠償や窃盗罪・器物損壊罪等の責任が生じると説明しています。明渡しは裁判所の強制執行などの手続で実現する必要があります。
  • 契約書にあっても無効になり得る条項:最高裁は、保証会社が無催告で契約を解除できる条項と、一定の状況で「明渡しがあったものとみなす」条項を、消費者契約法10条に当たると判断しました。
  • まずすること:請求の額と内訳を確認し、払える額と時期を保証会社に伝えて相談します。不当な取立てを受けたら消費者ホットライン188や法テラスへ。

なぜ保証会社から請求が来るのか

国交省の「民間賃貸住宅に関する相談対応事例集」は、「家賃滞納が発生した場合は、保証会社が貸主へ滞納家賃を立て替えて支払います。したがって、借主は、保証会社から滞納家賃の支払請求(求償)を受けることになります」と説明しています。民法459条1項は、委託を受けた保証人が債務者に代わって弁済したとき、支出した額を債務者に請求できる(求償権)と定めています。

つまり、保証会社が立て替えても滞納が消えるわけではなく、請求する相手が家主から保証会社に変わるだけです。保証会社が立て替えている間も、賃貸借契約上の滞納の事実は残ります。

出典:民間賃貸住宅に関する相談対応事例集(再改訂版)(国土交通省・PDF)/民法459条(e-Gov法令検索)(いずれも2026年11月1日確認)

保証会社に許されない取立て

自力救済の禁止(国交省の説明)

国交省の事例集は、家主等による私的な明渡しの強行について次のように説明しています(事例集は「貸主等」を主語にしています)。

  • 「貸主等が私的な明渡し強行行為に及ぶことは自力救済として禁止されており、違法行為です」。明渡しは「裁判所の強制執行等の手続きによって」実現する必要があります。
  • 鍵の付け替え:「鍵を付け替えて居室から閉め出す行為は、借主の賃貸物件を占有使用する権利を侵害する行為に当たり、自力救済行為として違法となります」。契約書にそれを認める条項があっても、消費者契約法10条により無効とされる可能性があるとしています。
  • 荷物の運び出し:借主の同意なく家財を処分した場合、「民事上(損害賠償請求)、刑事上(窃盗罪、器物損壊罪等)の責任が生じます」。借主の意思に反して立ち入った場合は住居侵入罪等に当たる可能性があるとしています。

出典:民間賃貸住宅に関する相談対応事例集(再改訂版)(国土交通省・PDF)(2026年11月1日確認)

国交省に登録した保証会社が禁止を求められている行為

国交省は告示(家賃債務保証業者登録規程)にもとづく家賃債務保証業者の登録制度を設けています。登録は任意で、登録しなくても家賃債務保証業を営むことはできます。登録の申請では、求償権の行使方法が適切であることが求められ(規程6条)、申請様式(別記様式第三号)には、社内規則で禁止すべき行為として次のものが挙げられています(多くは「正当な理由がある場合を除き」という限定つきです)。

  • 意図的に恐怖を抱かせ、または不安をあおるような言動
  • 深夜・早朝など、社会通念に照らして不適当な時間帯の訪問・電話
  • 勤務先など居宅以外への電話・訪問、不適当な程度の反復
  • 無断で物件に立ち入ること
  • 貼り紙や文書の掲示などで、滞納の事実を第三者に明らかにすること
  • 物件への入居を完全に排除する物理的な措置を講じること
  • 明渡しが完了する前に家財を搬出・処分すること

また規程19条により、登録業者の督促の書面には求償権の額とその内訳、相談・苦情の連絡先を記載することとされています。これらは登録制度の要件であり、登録していない業者に直接適用される法律ではない点に注意してください。ただし、上で見た自力救済の禁止は登録の有無にかかわりません。

出典:家賃債務保証業者登録制度(国土交通省)/家賃債務保証業者登録規程(国土交通省・PDF)/別記様式第三号(国土交通省・PDF)(いずれも2026年11月1日確認)

保証会社が登録業者かどうかの確かめ方

国交省の「登録家賃債務保証業者一覧」には、登録業者の名称・本店所在地・登録番号(「国土交通大臣( )第 号」の形式)が載っています。2026年9月30日時点の登録事業者数は125者です。督促状に書かれた会社名と登録番号を、この一覧と照らし合わせてください。

出典:登録家賃債務保証業者一覧(国土交通省)(2026年11月1日確認)

最高裁 令和4年12月12日判決:いわゆる追い出し条項

適格消費者団体が家賃債務保証業者に対して条項の使用差止めを求めた事件(令和3年(受)第987号)で、最高裁第一小法廷は、次の2つの条項が消費者契約法10条に規定する消費者契約の条項に当たると判断し、これらの条項を含む契約の申込み・承諾の意思表示の差止めと、契約書ひな形が印刷された書面の廃棄を命じました。

  1. 無催告解除の条項:滞納した賃料等の合計が賃料3か月分以上に達したとき、保証会社が無催告で家主と入居者の間の賃貸借契約を解除できるとする条項。
  2. 明渡しがあったものとみなす条項:賃料等の支払を2か月以上怠り、連絡がとれず、電気・ガス・水道の利用状況や郵便物の状況などから相当期間利用していないと認められる等の事情があるとき、入居者が明示的に異議を述べない限り、明渡しがあったものとみなすことができるとする条項。

消費者契約法10条は、消費者の権利を制限し、または義務を加重する条項で、信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものを「無効とする」と定めています。国交省も登録業者に対し、この判決を受けてこれらの条項を使わないよう求めています。

出典:最高裁判所 令和4年12月12日第一小法廷判決(裁判例結果詳細)/同 判決全文(PDF)/消費者契約法10条(e-Gov法令検索)/家賃債務保証業者登録制度(国土交通省)(いずれも2026年11月1日確認)

なお、この判決は条項の差止めについての判断で、個々の入居者の契約がどう扱われるかは事案ごとに判断されます。自分の契約書に似た条項がある場合は、法テラスや消費生活センターで相談してください。

契約はいつ解除されるのか

国交省の事例集は、判例がいわゆる「信頼関係破壊の法理」を確立しており、借主側が信頼関係を破壊すると認めるに足りない特段の事情を立証した場合には解除が認められないと説明しています。また、無催告で解除できる特約があっても、信頼関係が破壊されていない限り催告が必要であるとしています。滞納が1回あったからといって、ただちに契約が解除されるわけではありません。ただし、滞納が続けば解除と明渡しの請求に進むおそれがあります。

出典:民間賃貸住宅に関する相談対応事例集(再改訂版)(国土交通省・PDF)(2026年11月1日確認)

家主側の督促から明渡しまでの一般的な流れは家賃が払えない場合の対応で解説しています。

督促が来たときの対応手順

  1. 請求の中身を確認する:登録業者の督促の書面には、求償権の額と内訳が記載されることになっています。いつの家賃が何か月分か、手数料などが加わっていないかを確認します。分からない項目は書面で説明を求めます。
  2. 払える額と時期を伝える:連絡を絶つと、上で見た判決の事案のように「連絡がとれない状況」として扱われるおそれがあります。全額を払えない場合も、払える額と時期を伝えて相談します。約束した日付・金額・担当者は記録しておきます。
  3. 収入が減った原因が離職・休業なら公的制度を確認する:離職や休業等で収入が減り、住居を失うおそれがある人に家賃相当額を補助する「住居確保給付金」があります。窓口は自立相談支援機関で、補助は自治体から家主などへ直接支払われます。要件と手続は住居確保給付金にまとめています。
  4. 不当な取立てを受けたら記録して相談する:締め出し・無断立入り・貼り紙・深夜の訪問などがあった場合は、日時と内容、写真や録音を残し、消費者ホットライン188や法テラスに相談します。鍵の付け替えなどで住めなくなった場合は警察への相談も検討してください。

出典:生活困窮者自立支援制度(厚生労働省)/住居確保給付金 制度概要(厚生労働省 生活支援特設ウェブサイト)(いずれも2026年11月1日確認)

よくある質問

保証会社に払えば家主との関係は元通りになりますか

立て替えてもらった家賃を保証会社に支払えば、その分の請求はなくなります。ただし、家主との賃貸借契約がどう扱われるか(更新や解除の判断)は、契約内容と滞納の経過によります。家主・管理会社にも状況を伝えておくことをおすすめします。

保証会社の滞納は信用情報に載りますか

保証会社の中には信用情報機関(CIC)の会員になっている会社もありますが、家賃保証の滞納が登録されるかどうかを一般的に示した公式の案内は確認できませんでした。気になる場合は、契約書の個人情報の取扱いの条項を確認するか、信用情報機関に開示請求をしてください。信用情報の開示については信用情報の開示で解説しています。

連帯保証人にも請求が行きますか

保証会社とは別に連帯保証人を立てている契約では、連帯保証人に請求が行くことがあります。保証人の責任の範囲については保証人と連帯保証人の違いをご覧ください。

引っ越しを考えていますが、初期費用が払えません

家賃の安い住宅への転居が必要な場合の支援や相談先は、引っ越しの初期費用が払えない場合にまとめています。

相談先

  • 消費者ホットライン「188」:保証会社の取立てや契約条項についての相談。消費者庁
  • 法テラス:サポートダイヤル 0570-078374(平日9時〜21時、土曜9時〜17時)。法テラスについて
  • 自立相談支援機関:家賃を含む家計全体の相談、住居確保給付金の申請。厚生労働省

家賃のほかに税金や公共料金の滞納も重なっている場合は、滞納の優先順位もあわせてご覧ください。

本記事は、法令・判例と公的機関が公開している情報をもとに一般的な仕組みを整理したもので、法的な助言ではありません。個々の契約条項の有効性や取立て行為の違法性は、事案ごとに判断されます。2026年11月1日に確認した内容をもとにしています。具体的な対応は、本文の相談先でご確認ください。

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マネーガイドジャーナル編集部

金融関連の情報サイトについて多数の運営実績を持つ編集チームです。株式・不動産・FXなど幅広い金融資産の運用経験と、外資系ITコンサルティングファームで金融機関の案件に従事した実務経験をもとに、公式サイト・公的機関の一次情報を確認しながら記事を制作しています。

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