退職後の国民健康保険・年金を安くする方法|会社都合の軽減と失業特例免除
退職して収入が減ると、国民健康保険料や国民年金保険料の負担が重くなります。倒産・解雇などの会社都合離職には国保料の軽減(前年給与所得を30/100とみなす)、年金には失業特例の免除があります。対象と申請先を解説します。

退職後はご自身で国民健康保険と国民年金に加入することになり、収入が減少する一方で負担が重くなる傾向があります。ただし、離職理由によっては軽減・免除を利用できます。
国民健康保険料の軽減(非自発的失業者)
倒産・解雇などの会社都合(特定受給資格者)や雇止め等(特定理由離職者)で離職時65歳未満の人は、前年の給与所得を「100分の30」とみなして国保料を計算する軽減を受けられます。期間は、離職日の翌日の属する月から翌年度末(3月)までです。雇用保険受給資格者証の離職理由コードで判定され、市区町村への申請が必要です(自動では適用されません)。出典:厚生労働省(非自発的失業者の国保軽減)
国民年金保険料の免除・納付猶予
失業した場合は「失業特例」で、離職者本人の前年所得を除外して審査を受けることができます(離職票や雇用保険受給資格者証が必要です)。全額免除なら将来の老齢基礎年金に2分の1が反映されます。納付猶予は年金額に反映されませんが、受給資格期間には算入されます。承認された期間は10年以内なら追納できます。
申請先は、市区町村の国民年金窓口または年金事務所です(マイナポータルによる電子申請も可能です)。出典:日本年金機構(免除・納付猶予)
退職後の手続きの流れ
退職直後は手続きが集中します。軽減・免除の申請漏れを防ぐための流れを整理します。
- 手順1:書類をそろえる:離職票・雇用保険受給資格者証(離職理由コードが分かるもの)・本人確認書類・マイナンバーが分かるものを手元に用意します。
- 手順2:健康保険の加入方法を決める:国民健康保険に入るか、それまでの健康保険の任意継続を選ぶかで負担が変わります。どちらが有利かは個人の状況により異なるため、市区町村の国保窓口と協会けんぽ(または健保組合)の両方で保険料の試算を確認することをおすすめします。
- 手順3:国保の軽減を申請する:会社都合等の離職の場合は、加入手続きとあわせて市区町村窓口で非自発的失業者の軽減を申請します。自動では適用されません。
- 手順4:年金の免除・猶予を申請する:市区町村の国民年金窓口または年金事務所で、失業特例による免除・納付猶予を申請します。マイナポータルの電子申請を利用すれば、窓口に出向かずに手続きできる場合もあります。
手続きの期限や必要書類は自治体によって案内が異なることがあります。退職前に会社から受け取る書類(離職票など)の交付が遅れることもあるため、書類がそろっていない段階でも、窓口に電話して提出書類と期限を確認しておくことをおすすめします。健康保険の資格喪失日以降に無保険の期間が生じないよう、加入手続きは先に進めてください。
対象となるか判断に迷うケース
- 自己都合で退職した場合:国保の軽減は離職理由コードで判定されます。対象となるかどうかは、コードをもとに市区町村窓口でご確認ください。対象外でも、所得に応じた法定軽減や個別の減免が使える場合があります。
- 年金の免除には所得審査がある:失業特例では離職者本人の前年所得を除外して審査されますが、世帯の他の人の所得も審査対象になります。家族に所得がある場合に承認されるかは、窓口での確認が必要です。
- すでに保険料を納付書で支払い始めた場合:遡って適用できる範囲は、制度と申請時期によって異なります。窓口にご相談ください。
- 配偶者の扶養に入れる可能性がある場合:配偶者が会社の健康保険・厚生年金に加入しているなら、被扶養者・第3号被保険者になれるかどうかで負担が大きく変わります。要件は配偶者の勤務先の保険者が判断するため、勤務先を通じて確認してください。
手続き上の注意点
最も避けるべきことは、支払えないことを理由に手続きをせず、未納のままにすることです。未納は将来の年金額にも障害・遺族年金の受給資格にも不利に働きますが、承認された免除・猶予期間は受給資格期間に算入されます。「未納」と「免除・猶予」は、扱いがまったく異なります。
- 国保の軽減と年金の免除は窓口も申請も別です。両方の手続きを行ってください。
- 免除が承認された場合も、経済的な余裕ができた時点で追納を検討してください。追納できる期間には限りがあります(詳細は年金事務所へ)。
- 保険料率や軽減の細部は年度・自治体により異なります。具体的な金額は、必ず市区町村・年金事務所で試算を受けてください。
よくある質問(FAQ)
Q1.手続きはいつまでに行えばよいですか?
A.退職後はできるだけ早く手続きするのが原則です。申請が遅れると軽減・免除を受けられる期間に影響する場合があるため、期限の扱いは市区町村・年金事務所で確認してください。
Q2.失業手当を受給していても、免除は申請できますか?
A.失業手当の受給と年金の免除申請は別の制度です。雇用保険受給資格者証は失業特例の確認書類としても使われます。受給状況を伝えたうえで、年金窓口で審査の扱いをご確認ください。免除の審査は年度単位で行われるため、失業状態が続く場合は翌年度に改めて申請が必要になる点にも注意してください。
Q3.保険料が軽減されても支払えない場合は、どうすればよいですか?
A.分割納付や納付相談の仕組みがあります。放置して滞納にせず、国保・年金が払えないときの記事を参考に、早めに窓口へ相談してください。
Q4.平日に窓口へ行く時間が取れません。どうすればよいですか?
A.年金の免除・納付猶予はマイナポータルの電子申請が使える場合があり、国保の手続きも自治体によっては郵送で受け付けています。窓口に出向かずに手続きできる方法があるかを、電話でご確認ください。
Q5.軽減・免除の期間が終わった後はどうなりますか?
A.対象期間が終われば通常の保険料に戻ります。その時点でも納付が難しい場合は、放置せず改めて窓口に相談してください。状況に応じた納付の相談ができます。
相談前に作成しておくメモ
退職後の手続きは「国保は市区町村」「年金は年金事務所」と窓口が分かれ、同じ説明を繰り返すことになりがちです。次の項目を1枚のメモにまとめておくと、どの窓口でも利用できます。
- 退職の基本情報:退職日、離職理由(会社都合か自己都合か)、離職票・雇用保険受給資格者証が手元にあるかどうか。
- 世帯の状況:同居家族と、それぞれの収入の有無。年金の免除は世帯の所得も審査に関わるため、事前に把握しておくと相談を円滑に進めることができます。
- 手続きの進捗:国保の加入、軽減の申請、年金の免除申請のうち、どこまで済んでいるか。
- 質問事項:「軽減はいつから反映されるか」「追納はどう進めるか」など、疑問を箇条書きにしておきます。
窓口で受けた回答を日付と窓口名とともにメモに追記していくと、手続きの漏れの確認にも利用できます。書類がそろっていない段階でも、このメモをもとに電話で相談すれば、必要な準備について具体的な案内を受けることができます。
まとめ
会社都合の離職の場合、国保料は前年の給与所得を30/100とみなす軽減、年金は失業特例による免除を利用できます。いずれも申請が必要なため、退職後は早めに市区町村・年金事務所にご相談ください。
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この記事の執筆者
マネーガイドジャーナル編集部
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