傷病手当金と失業手当は両方もらえる?病気で働けないときの受給の順番【2026年7月】
病気やケガで働けないときは、健康保険の傷病手当金(給与の約2/3・通算1年6か月)が受けられます。失業手当とは「働けるか働けないか」で要件が相反するため同時には受けられません。受給の順番と退職後の継続給付を解説します。

病気やケガで働けず給与が出ないときは、健康保険から傷病手当金が受けられます。「失業手当と両方もらえる?」という疑問は多いですが、結論から言うと同一期間に両方は受けられません。
傷病手当金の内容
- 金額:おおむね標準報酬日額の3分の2
- 期間:支給開始日から通算1年6か月(令和4年1月からの通算化で、途中で働いた期間を除いて通算できる)
- 条件:業務外の病気・ケガ/働けない/連続3日を含む4日以上休業(待期3日)/給与の支払いがない
失業手当と同時に受けられない理由
傷病手当金は「働けない」ことが前提、失業手当(基本手当)は「働ける・求職できる」ことが前提です。要件が相反するため、同じ期間に両方を受けることはできません。退職後に病気で働けない場合は、失業手当の受給期間延長(働けない期間が30日以上のとき)の手続きをしておき、回復して働けるようになってから失業手当を受ける、という順番になります。
退職しても、①退職日まで継続して1年以上の被保険者期間があり、②退職時に傷病手当金を受けている(受けられる状態)なら、退職後も継続して受給できます。出典:全国健康保険協会(傷病手当金)、厚生労働省(支給期間の通算化)
傷病手当金の申請の流れ(ステップで整理)
申請書は自分・医師・会社の三者が記入する構成が一般的です。流れを整理します。
- ステップ1:申請書を入手する——協会けんぽの人は協会けんぽの様式、健保組合の人は組合の様式を使います。会社の担当部署か保険者のサイトで入手できます。
- ステップ2:医師に意見欄を記入してもらう——「働けない状態だった」ことについて、療養を担当した医師の意見が必要です。受診していない期間は証明が難しくなるため、療養中は定期的に受診を続けましょう。
- ステップ3:会社に証明欄を記入してもらう——休んだ期間と給与の支払い状況を事業主が証明します。
- ステップ4:保険者に提出する——提出先は加入している協会けんぽ・健保組合です。支給までの期間や不備の扱いは保険者ごとに異なるため、提出時に確認しておくと安心です。
申請は「休んだ期間ごと」に行うのが一般的で、たとえば1か月ごとに区切って請求する運用がよく見られます。療養が長引く場合は、どの期間単位で請求していくかを最初に保険者へ確認し、医師の意見欄の記載時期も含めて段取りを決めておくと、支給の途切れや書類の出し直しを防げます。
対象になるか迷うケースの考え方
- うつ病などの精神疾患——業務外の病気として働けない状態であれば対象になり得ます。働ける状態かどうかは医師の意見が軸になるため、まず主治医に相談しましょう。
- 仕事が原因のケガ・病気——業務上・通勤途上の傷病は健康保険ではなく労災保険の領域です。判断に迷う場合は労働基準監督署に相談してください。
- パート・アルバイトの場合——勤務先の健康保険(協会けんぽ・健保組合)に自分が被保険者として加入していれば対象になり得ます。家族の扶養に入っている場合は対象外のため、自分の加入状況をまず確認しましょう。
- 退職が近い・退職済みの場合——本文で解説した継続給付の要件(1年以上の被保険者期間など)に関わるため、退職日と受給状況の関係を保険者に確認してから退職日を決めるのが安全です。
つまずきやすい注意点
退職後に病気が続く場合、失業手当の受給期間延長の手続きを忘れるのが典型的な失敗です。働けない期間が30日以上あるときはハローワークで延長の手続きをしておき、回復後に失業手当を受ける流れを確保しましょう。手続きの期限・必要書類はハローワークで確認してください。
- 待期は「連続3日」の休みが必要です。数え方に迷ったら自己判断せず保険者に確認しましょう。
- 休業中に給与が一部支払われた場合の調整、障害年金や労災との調整など、他の給付との関係は個別性が高い論点です。該当しそうなら必ず保険者に申告・確認してください。
- 退職日に出勤扱いになると継続給付に影響することがあります。退職前後の扱いは事前に保険者へ確認するのが安全です。
よくある質問(FAQ)
Q1.申請はいつまでにすればいいですか?
A.傷病手当金の請求には時効があります。過去の分をまとめて請求できる場合もあるため、諦める前に加入先の協会けんぽ・健保組合に期限を確認してください。療養が続いているなら、期間を区切ってこまめに請求していく方が、家計の見通しも立てやすくなります。
Q2.会社が証明欄を書いてくれないときは?
A.まず保険者(協会けんぽ・健保組合)に事情を伝えて対応方法を相談しましょう。会社とのトラブルが背景にある場合は、労働基準監督署や総合労働相談コーナーも相談先になります。
Q3.傷病手当金だけで生活できないときは?
A.公的な貸付・給付や、家賃・国保・年金の負担軽減もあわせて確認しましょう。現金化などの危険な手段に頼る前に、使える制度を出し切ることが大切です。
時系列で見る療養から再就職までの判断ポイント
傷病手当金は関わる期間が長いため、「どの時点で何を判断するか」を先に押さえておくと迷いが減ります。休み始めの時期は、会社の休職制度と休職中の給与・社会保険料の扱いを人事に確認し、医師の診断のもとで療養に入ります。療養中は、定期的な受診を続けながら、決めた期間ごとに請求を積み重ねていきます。体調や治療方針が変わったときは、働ける状態かどうかの見立てを主治医と共有しておきましょう。退職を考え始めたら、判断の前に一度立ち止まる場面です。退職後も受給を続けられるかは本文で解説した継続給付の要件に関わるため、退職日を決める前に保険者へ確認し、あわせてハローワークで失業手当の受給期間延長の手続きを押さえます。回復して働ける状態になったら、主治医と相談のうえで求職活動に移り、延長していた失業手当の手続きを進める、という順番です。各段階で「自己判断せず、保険者・医師・ハローワークに確認してから動く」ことが共通のポイントです。
職場への伝え方・休職手続きの一般的な進め方
会社員の場合、傷病手当金の請求は会社の証明とセットになるため、職場との連絡体制づくりも大切です。まず、診断書の提出先と休職の手続きを人事・総務に確認し、休んでいる間の連絡窓口(誰に・どの手段で・どのくらいの頻度で連絡するか)を決めておくと、療養に専念しやすくなります。申請書の会社記入欄をどうやり取りするか(郵送か、家族経由かなど)も最初に決めておくと、請求のたびに悩まずに済みます。職場に病名をどこまで伝えるかは迷いやすい点ですが、手続き上必要な範囲は保険者・会社の様式で決まっているため、不安があれば人事に確認しましょう。復職の時期や働き方の調整は、主治医の意見をふまえて会社と相談しながら進めるのが一般的です。会社とのやり取りが負担でどうしても進まないときは、本文で触れたとおり保険者に事情を伝えて相談する方法があります。一人で抱え込まないことが、療養にとっても手続きにとっても大切です。
まとめ
傷病手当金は給与の約2/3を通算1年6か月受けられます。失業手当とは要件が相反し同時受給は不可。病気で働けないうちは受給期間の延長手続きをしておくのが安全です。詳細は加入先の健康保険・ハローワークへ。
あわせて確認したいこと
- まず確認:今すぐお金が必要なときにまず確認したいこと/公的な貸付・給付
- 滞納で困る前に:家賃が払えないとき/国保・年金が払えないとき
- 現金化・ヤミ金・個人間融資に頼る前に、使える公的給付がないか確認しましょう
この記事の執筆者
マネーガイドジャーナル編集部
金融関連情報サイトの運営実績を多数持つ編集チーム。株式・不動産・FXなど幅広い金融資産の運用経験と、外資系ITコンサルティングファームで金融機関の案件に従事した実務経験をもとに、公式サイト・公的機関の一次情報を確認しながら記事を制作しています。
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