税金が払えないときの分割納付|回数・申請の期限・条件と差押えまでの流れ
税金を一度に払えない場合、税務署に申請して「換価の猶予」「納税の猶予」が認められると、原則1年以内の猶予期間中に毎月分割して納付できます。申請の期限(換価の猶予は納期限から6か月以内)・条件・担保・差押えまでの流れを国税庁の情報で解説します。

住民税・所得税・固定資産税などを滞納すると、督促を経て財産の差押えに進みます。ただし、払えないと分かった時点で早めに相談すれば、猶予・分割で対応できる可能性があります。
分割で払えるか:国税を一度に納めることが難しい場合、税務署に申請して「換価の猶予」または「納税の猶予」が認められると、猶予を受けた国税は原則として猶予期間中の各月に分割して納付します。
分割の回数(期間):猶予期間は1年の範囲内で、財産や収支の状況から最も早く完納できると認められる期間に限られます。期間内に完納できないやむを得ない理由がある場合は、当初の期間と合わせて2年を超えない範囲で延長が認められることがあります。
申請の期限:換価の猶予は、納期限から6か月以内に申請書を提出する必要があります。
主な条件(換価の猶予):一度に納めると事業の継続または生活の維持が難しくなるおそれがあること、納税について誠実な意思があること、ほかの国税の滞納がないこと、原則として担保を提供すること。担保は、猶予を受ける金額が100万円以下の場合、猶予期間が3か月以内の場合などは不要です。
申請先と書類:所轄の税務署に「換価の猶予申請書」(または「納税の猶予申請書」)と「財産収支状況書」(猶予を受ける金額が100万円を超える場合は「財産目録」と「収支の明細書」)を提出します。住民税・固定資産税などの地方税は、市区町村の納税課・収納課に相談してください。
出典:No.9206 国税を期限内に納付できないとき(国税庁タックスアンサー・令和8年4月1日現在法令等)(2026年10月20日確認)
滞納から差押えまでの流れ
国税では、納期限までに納めないと原則納期限後50日以内に督促状が送られ、督促状発送日から10日を経過しても完納しないと財産の差押えが可能になります(実務では催告書等を経ることが多いとされています)。地方税(住民税・固定資産税)もほぼ同様の仕組みです。出典:国税徴収法(e-Gov)/地方税法(e-Gov)
延滞税(国税・2026年)は、納期限翌日から2か月以内が年2.8%、2か月経過後は年9.1%です(地方税の延滞金率は税目・自治体条例により異なります)。出典:延滞税の割合(国税庁)
納税の猶予・換価の猶予(分割・延滞税の軽減)
- 納税の猶予:災害・病気・事業の休廃止・著しい損失などで一時に納付が難しいとき、申請で原則1年以内(最長2年)猶予・分割納付でき、延滞税が軽減・免除されます。
- 換価の猶予:納税に誠実な意思があり、一時に納めると事業継続・生活維持が困難な場合、納期限から6か月以内の申請で原則1年以内(最長2年)猶予・分割でき、延滞税が原則2分の1免除されます。
申請先は所轄の税務署(国税)、市区町村の納税課・収納課(地方税)です。出典:納税の猶予(国税庁)/徴収猶予・換価の猶予(東京都主税局)
差押えを避けるためには早めの相談が重要です。滞納を放置せず、払えないと分かった時点で税務署・自治体の納税窓口に相談すれば、猶予・分割に応じてもらえる可能性が高まります。
差押えの通知が届いている場合や、給与・口座が差し押さえられた場合の考え方は差押えの二つの手続と給与を差し押さえられたときに手元に残る額の決まり方に、猶予・分納を申し出るときの持ち物は税金の猶予・分納を申し出るときの準備書類と確認事項に、払えない状態が続いた場合の条文上の仕組みは滞納処分の停止にまとめています。
最初に相談すべき公的な窓口
- 自立相談支援機関:家計・仕事・住まいの総合相談窓口(生活困窮者自立支援制度)。厚生労働省
- 消費者ホットライン「188」:契約トラブル等は局番なしの188へ。消費者庁
- 法テラス:借金・法的トラブルの無料相談・費用立替。日本司法支援センター
- 公的な貸付・給付:あわせて急にお金が必要なとき国・自治体から借りる・もらう方法もご覧ください。
納税窓口への相談方法(伝える内容と準備するもの)
相談先は、国税(所得税など)は所轄の税務署、地方税(住民税・固定資産税など)は市区町村の納税課・収納課です。「払えない」という相談は納税窓口にとって日常的なもので、連絡をためらう必要はありません。電話でも窓口でも、伝えることは共通しています。
- 滞納している税目と通知:手元の納付書・督促状を見ながら、どの税をいつから滞納しているかを伝えます。
- 払えない事情:失業・収入減・病気・事業不振など、概要で構いません。
- 収入と家計の状況:猶予・分割の検討には生活状況の把握が必要になるため、質問された際に答えられるよう準備しておきます。
- 現実的な納付計画:毎月どの程度なら納められるか、無理のない範囲の見通しを伝えます。守れない計画を約束しないことが大切です。
求められる書類は窓口・制度により異なりますが、届いている通知書、収入が分かるもの、家計の分かるメモがあると相談が円滑に進みます。本文で解説した猶予制度には申請期限のあるものも含まれるため、「払えないと分かった時点」で相談することが重要です。相談した日付・担当部署・合意内容は記録しておくことをおすすめします。
届いた書類の段階別の対応
- 納付書の期限を過ぎた段階:最も選択肢が多い段階です。放置せず、納税窓口に電話して猶予・分割の相談を始めてください。
- 督促状が届いた段階:本文のとおり、法律上は差押えが可能になる段階へ進みつつあります。実務では催告を経ることが多いものの、残された時間は確実に減っています。まだ猶予があると考えず、すぐに連絡してください。
- 催告書・差押予告が届いた段階:差押えが目前の段階です。書面の連絡先へ当日中に電話し、窓口での相談日時を確保してください。
- 差押えが行われた後:解除できるか、生活維持のためにどんな調整が可能かは個別事情によります。窓口への相談を続けるとともに、法テラス等で専門家にも相談してください。
なお、税金や公的機関をかたって「未納がある」と請求してくる不審な電話・メールも存在します。届いた連絡の真偽が分からないときは、記載の連絡先ではなく、納付書に書かれた正規の窓口へかけ直して確認してください。
給与が差し押さえられると勤務先に通知が行くため、職場に事情を知られることになります。預金の差押えでは口座の残高から回収されます。こうした事態を避けるには、差押え前に相談することが最も有効です。
状況別の対処と優先順位
- 一時的に払えない場合:納付できる時期を示して相談すれば、短期の調整で済む可能性があります。
- 収入減・事業不振が続いている場合:本文の「納税の猶予」「換価の猶予」を検討する場面です。要件に該当するかは窓口で確認してください。
- 複数の税目・複数年分を滞納している場合:国税は税務署、地方税は自治体と窓口が分かれます。それぞれに滞納の全体像を正確に伝え、優先順位も含めて相談することが有効です。滞納の一部だけを伏せて相談すると、後で納付計画が成り立たなくなります。
- 会社員で住民税を自分で納めている場合:納付書払い(普通徴収)は納め忘れが起きやすい方法です。今後の納め方について変更が可能かどうかも、自治体の窓口で確認できます。
- 生活自体が困窮している場合:納税相談と並行して、自立相談支援機関や公的な貸付・給付を確認してください。生活の維持が最優先です。
納税のための借金・現金化を控える理由
税金には本文で解説した公的な猶予・分割の仕組みがあり、適用されれば延滞税・延滞金が軽減される場合もあります。それにもかかわらず、クレジットカード現金化・給与ファクタリング・ヤミ金といった、金融庁・消費者庁が注意喚起する手段で現金を作って納税するのは、公的な救済を使えるはずの債務を、より条件の悪い借金に置き換えるだけの行為です。また、差押えを恐れて財産を隠したり名義を移したりする行為は、より重い法的問題に発展するおそれがあるため絶対に避けてください。
よくある質問
自己破産すれば税金も消えますか?
税金は自己破産をしても原則として免除されない債権として扱われるとされています。借金を整理しても税金は残るため、猶予・分割を相談することが現実的な対処です。個別のケースは法テラス等で専門家に確認してください。
放っておけば時効で消えませんか?
督促や差押えなどの手続きによって時効の完成は妨げられる仕組みになっており、時効による消滅を期待することは現実的ではありません。放置している間にも延滞税・延滞金は増えていくため、早めに相談するほうが負担を抑えられます。
延滞税・延滞金だけでも免除してもらえませんか?
本文の猶予制度が適用されると、延滞税・延滞金が軽減・免除される場合があります。適用の可否は要件・個別判断によるため、窓口で相談してください。
相談すれば必ず分割にしてもらえますか?
猶予・分割には要件と審査があり、必ず認められるわけではありません。ただし、納める意思を示して相談している場合と、連絡を絶って放置している場合とでは、その後の対応が異なることがあります。認められなかった場合も、家計の状況を踏まえた別の相談先(自立相談支援機関・法テラス)につなぐことができます。
差し押さえられたら生活できなくなりませんか?
生活の維持に配慮する仕組みは設けられていますが、その範囲は法令と個別事情によります。生活への影響を最小限にする最も確実な方法は、差押えに至る前に相談することです。不安を感じた段階で窓口に相談してください。
まとめ
税金の滞納は最終的に差押えに至りますが、納税の猶予・換価の猶予という公的な救済があります。延滞税・延滞金が膨らむ前に、早めに納税窓口へ相談してください。
この記事の執筆者
マネーガイドジャーナル編集部
金融関連の情報サイトについて多数の運営実績を持つ編集チームです。株式・不動産・FXなど幅広い金融資産の運用経験と、外資系ITコンサルティングファームで金融機関の案件に従事した実務経験をもとに、公式サイト・公的機関の一次情報を確認しながら記事を制作しています。
- 掲載情報は、公式サイト・政府広報・金融庁等の一次情報で確認し、確認日を記載しています
- 確認できなかった情報は「確認できず」と記載し、推測による断定は行いません
- 特定のサービスの利用を勧めることはせず、リスクと公的な相談先をあわせて掲載しています




