奨学金が返せないとどうなる?延滞のリスクと減額返還・返還猶予【2026年7月】
奨学金(JASSO)を延滞すると督促・信用情報登録・一括請求へ進みますが、減額返還・返還期限猶予で毎月の負担を軽くできます。要件・収入基準・申請先を公式情報で解説します。

奨学金(日本学生支援機構=JASSO)が返せないときは、放置せず減額返還・返還期限猶予の制度を使うのが基本です。延滞を放置すると信用情報登録や一括請求に進みます。
延滞を放置するとどうなる
振替できず延滞すると、本人・連帯保証人・保証人へ督促が行われます。延滞3か月以上で個人信用情報機関に登録され(返還完了から5年後に削除)、さらに未返還が続くと債権回収会社への委託・一括請求(期限の利益喪失)、支払督促・訴訟に進むことがあります。延滞金は2020年3月28日以降の発生分で年3%です。出典:個人信用情報(JASSO)
減額返還と返還期限猶予
- 減額返還:毎月の返還額を2分の1・3分の1などに減らし、その分期間を延長(総額は変わりません)。経済困難・失業・傷病等が要件。収入の目安は給与所得者で年収400万円以下(扶養人数で変動)。1回12か月・通算最長15年。
- 返還期限猶予:返還そのものを先延ばし(期間中は延滞金も止まる)。収入の目安は給与所得者で年収300万円以下。一般猶予は通算10年(災害・傷病・生活保護等は上限の対象外)。
申請はスカラネット・パーソナルまたは郵送で行えます。出典:減額返還(JASSO)/返還期限猶予(JASSO)
延滞してから慌てるより、返せないと分かった時点で減額返還・猶予を申請するのが得策です。延滞金や信用情報登録を避けられます。相談は JASSO奨学金相談センター 0570-666-301(平日9〜20時)へ。
まず相談したい公的な窓口
- 自立相談支援機関:家計・仕事・住まいの総合相談窓口(生活困窮者自立支援制度)。厚生労働省
- 消費者ホットライン「188」:契約トラブル等は局番なしの188へ。消費者庁
- 法テラス:借金・法的トラブルの無料相談・費用立替。日本司法支援センター
- 公的な貸付・給付:あわせて急にお金が必要なとき国・自治体から借りる・もらう方法もご覧ください。
申請手続きの流れ(減額返還・返還期限猶予)
- ステップ1:現状を確認する——スカラネット・パーソナルで自分の返還状況(残額・振替口座・延滞の有無)を確認します。
- ステップ2:使う制度を決める——毎月の額を減らす「減額返還」か、返還自体を先延ばしする「返還期限猶予」かを選びます(次の章の使い分けを参照)。
- ステップ3:事由を証明する書類を準備する——収入が分かる書類(所得証明など)や、失業・傷病といった事由を示す書類が必要です。必要書類は事由ごとに違うため、必ず公式の案内で確認しましょう。
- ステップ4:スカラネット・パーソナルまたは郵送で申請する——記入漏れ・書類不足は差し戻しの原因になります。
- ステップ5:審査結果を待つ——審査中の口座振替の扱いなど、手続き中の取り扱いは案内に従ってください。承認後も適用期間の終わりが近づいたら、継続するかどうかの確認を忘れずに。
どの段階でも、迷ったら本文で紹介した奨学金相談センターに電話で確認できます。「書類がそろってから連絡しよう」と待つより、先に電話して必要書類を確定させるほうが、結果的に早く進みます。電話がつながりにくい時間帯もありますが、書類を二度そろえ直す手間に比べれば小さな負担です。
「自分は対象になる?」迷いやすいケース
- 収入が目安をわずかに超えている:収入基準は扶養家族の人数などの事情で変わります。目安の数字だけ見て諦めず、相談センターに事情を伝えて確認しましょう。
- 無収入・求職中:失業・経済困難は猶予の代表的な事由です。離職や求職の状況を示す書類の準備から始めます。
- すでに延滞してしまっている:延滞があっても相談は可能です。放置が最悪の選択で、動き出すのが早いほど選択肢が残ります。
- 連帯保証人・保証人に迷惑をかけたくない:本人が対応しないまま延滞が続くと、督促は保証人にも及びます。保証人を守るためにも、本人が早く手続きすることが一番の対策です。
- 引っ越して案内が届いていない:住所・連絡先の変更を届け出ていないと、督促や重要な案内に気づけないまま延滞が進みます。スカラネット・パーソナルで登録情報の更新を。
いずれのケースでも共通するのは、「相談した」という事実自体が不利に働くことはない、という点です。状況が悪くなる前の相談ほど、使える選択肢は多く残っています。
つまずきやすいポイント
- 証明書類の不備:書類がそろっていないと審査が進みません。提出前にチェックリストを作って確認しましょう。
- 承認は「期間限定」:減額返還も猶予も、承認された期間が終われば元の返還に戻ります。状況が変わらなければ、期間終了前に改めて申請が必要です。
- 「減額=総額が減る」ではない:本文のとおり、減額返還は毎月の負担を軽くして期間を延ばす仕組みで、返す総額は変わりません。誤解したまま使うと後で戸惑います。
- 一括請求まで進んでしまう:期限の利益を失うと、月々の分割で返す前提が崩れ、交渉の余地が大きく狭まります。その前に手を打つことが重要です。
- 残高不足の振替失敗を軽く見る:「今月だけ」のつもりの振替失敗が延滞の入口になりがちです。振替日と口座残高の管理も立派な延滞対策です。
つまずきの多くは「知らなかった」「後回しにした」ことが原因です。制度そのものは、書類さえそろえば使える設計になっています。面倒がらずに一つずつ進めましょう。
減額返還と猶予、どちらを選ぶ?
ざっくり言えば、「一部なら返せる」なら減額返還、「今は返すこと自体が難しい」なら返還期限猶予が検討の出発点です。本文のとおり収入の目安(給与所得者で減額返還は年収400万円以下、猶予は年収300万円以下)も違います。迷ったら、家計の状況を伝えて相談センターに判断材料をもらいましょう。また、奨学金単体の問題ではなく生活全体が苦しいなら自立相談支援機関、ほかにも借金があるなら法テラス(いずれも本文の窓口一覧を参照)、一時的な生活費の不足なら公的な貸付・給付と、問題の種類ごとに相談先を分けるのが近道です。「奨学金の窓口に相談したから大丈夫」と一か所で止まらず、生活・借金・奨学金の三つを切り分けて動くと、使える制度の取りこぼしが減ります。
よくある質問
Q.猶予を使うと返す総額は増えますか?
A.本文のとおり猶予期間中は延滞金が止まります。利息の細かい取り扱いは奨学金の種類によって異なるため、公式の案内・相談センターで確認してください。「損をするのでは」と不安で申請をためらうより、確認したうえで使うほうが、延滞を続けるよりずっと安全です。
Q.信用情報に登録されると何が起きますか?
A.クレジットカードやローンの審査に影響することがあります。本文のとおり延滞3か月以上で登録され、返還完了から5年後に削除されます。登録される前に、減額返還・猶予で延滞そのものを防ぐのが最善です。
Q.どうしても返せない場合、債務整理はできますか?
A.奨学金も債務整理の対象になり得ますが、保証人に請求が及ぶなどの影響があります。自分だけで判断せず、法テラスなどで専門家に相談してください。
Q.申請してから結果が出るまで、振替は止まりますか?
A.手続き中の取り扱いは申請の時期や方法によって異なります。申請時の案内を確認するか、奨学金相談センター(0570-666-301)に問い合わせるのが確実です。結果を待つ間に督促などの通知が届いた場合も、放置せず内容を確認してください。
まとめ
奨学金は延滞を放置すると信用情報登録・一括請求に進みますが、減額返還・返還期限猶予で毎月の負担を軽くできます。返せないと感じたら早めにJASSOへ相談しましょう。
この記事の執筆者
マネーガイドジャーナル編集部
金融関連情報サイトの運営実績を多数持つ編集チーム。株式・不動産・FXなど幅広い金融資産の運用経験と、外資系ITコンサルティングファームで金融機関の案件に従事した実務経験をもとに、公式サイト・公的機関の一次情報を確認しながら記事を制作しています。
- 掲載情報は公式サイト・政府広報・金融庁等の一次情報を確認し、確認日を明記します
- 確認できない情報は「確認できず」と正直に記載し、憶測で断定しません
- 特定サービスの利用をあおらず、リスクと公的な相談先を必ず併記します



