固定資産税が払えないときの猶予・分納の相談方法
固定資産税が払えないときは放置せず、市区町村の税務窓口へ。徴収猶予・換価の猶予という法律上の制度と、分割納付の相談の進め方を分かりやすく解説します。

固定資産税の納税通知書が届いたものの、手元にお金がなく払えない。あるいは、すでに納期限を過ぎて督促状が届いている。そんなときに知っておきたいのが、猶予や分納といった、納めやすくするための仕組みです。固定資産税には、事情のある納税者のための猶予制度が法律で用意されており、分割納付の相談も広く行われています。この記事では、放置した場合に起こりうることと、猶予・分納の相談方法を整理します。具体的な運用は自治体によって異なるため、必ずお住まいの市区町村の税務窓口(東京23区は都税事務所)で確認してください。
固定資産税の基本と納期
固定資産税は、毎年1月1日時点で土地・家屋・償却資産を所有している人に課される地方税で、市町村(東京23区の場合は東京都)が課税します。納付は通常、年4回の納期に分けて行いますが、納期の月は自治体によって異なります。一括で前納できる自治体もあります。都市計画税がかかる地域では、固定資産税とあわせて課税・納付するのが一般的です。
納付の方法も、金融機関やコンビニでの窓口納付のほか、口座振替、スマートフォン決済など自治体によって複数用意されています。うっかり納期限を忘れてしまうことが多い方は、口座振替にしておくと払い忘れを防ぎやすくなります。
納税通知書に記載された納期限までに納付できなかった時点で、その期分は滞納となります。ただし、滞納になったからといって直ちに厳しい処分が行われるわけではなく、まずは督促などの手続きが先行します。重要なのは、この早い段階で相談に動くことです。
払えないまま放置すると起こりうること
- 延滞金の加算:納期限の翌日から納付の日までの期間に応じて、延滞金がかかる場合があります。割合は法令等に基づいて定められており、年によっても変わるため、具体的な金額は税務窓口で確認してください。
- 督促状の送付:納期限を過ぎても納付がない場合、督促状が送られます。督促状が届いたら、放置せずに納付するか、窓口に連絡しましょう。
- 財産調査・滞納処分:督促後も納付や相談がないまま放置が続くと、法律に基づいて預貯金や給与、不動産などの財産調査が行われ、差押えなどの滞納処分に進む場合があります。どの時点で行われるかは、状況や自治体の運用によって異なります。
差押えという言葉は非常に重く感じられますが、裏を返せば、納付や相談の姿勢を示している納税者に対して、何の前触れもなく厳しい処分だけが進むことは通常ありません。「払えないから連絡しづらい」という心理が、最も状況を悪化させます。督促状が届いた段階でも、相談の余地は十分にあります。
猶予制度:徴収猶予と換価の猶予
地方税には、事情のある納税者のための猶予制度が設けられています。代表的なものが「徴収猶予」と「申請による換価の猶予」です。
徴収猶予
災害や盗難にあった、本人や家族が病気にかかった、事業を廃止・休止した、事業に著しい損失を受けた、といった一定の事情によって納付が難しくなった場合に、申請により徴収が猶予される制度です。認められると、猶予期間中は新たな督促や滞納処分が猶予され、延滞金の全部または一部が免除される場合があります。
換価の猶予
一度に納付すると、事業の継続や生活の維持が困難になるおそれがあると認められる場合に、申請により、財産の換価(売却)や差押えが猶予される制度です。こちらも、猶予期間中の延滞金が軽減される場合があります。
いずれの猶予も、期間は一般に1年以内の範囲で認められ、期間中は分割して納付していくのが基本とされています。申請の期限や必要書類などの条件があるため、該当しそうだと思ったら、早めに税務窓口へ相談してください。「自分の事情が猶予の対象になるのか分からない」という段階での相談でも構いません。
分納の相談方法
正式な猶予制度の適用に至らない場合でも、実務上、分割納付の相談には多くの自治体が応じています。進め方の一例は次のとおりです。
- 納税通知書・督促状を手元に用意する。未納になっている税額と期別を正確に把握します。固定資産税以外の税目に未納がある場合は、それも合わせて整理しておきましょう。
- 市区町村の税務窓口(納税課・収納課など)に連絡する。電話でも窓口への来訪でも構いません。「一括では払えないので、分割の相談をしたい」と率直に伝えます。
- 収入と支出の状況を伝える。毎月いくらなら無理なく納付できるかを、生活費や他の支払いを踏まえて現実的に示します。給与明細や通帳など、収支の分かる資料があると話がスムーズです。
- 約束した分納計画を守る。分納の途中で支払いが難しくなった場合は、そのまま止めてしまうのではなく、必ず再度連絡して計画の見直しを相談します。
注意したいのは、無理な金額で約束しないことです。計画が途中で崩れると、その後の相談がしづらくなってしまいます。確実に続けられる金額で相談することが、結果的にいちばんの近道です。
やってはいけないこと・避けたいこと
- 納税通知書や督促状を開封せずに放置する。状況が分からないまま時間だけが過ぎ、延滞金の増加や滞納処分のリスクを自ら高めることになります。まず開封して、金額と期限を確認しましょう。
- 消費者金融やカードのキャッシングで納付する。税金には猶予・分納という公的な仕組みがあるのに、利息の高い借入で払ってしまうと、負担が増えるだけになりかねません。借入を検討する前に、必ず税務窓口に相談してください。
- 連絡を約束したまま音信不通になる。一度相談した後に連絡を絶つと、支払う意思がないと受け取られかねません。事情が変わったときこそ、早めに連絡することが大切です。
- 「税金を安くする」とうたう不審な業者に頼る。納税に関する正式な相談先は自治体の窓口です。手数料を取って交渉を代行するなどとうたう不審な勧誘には注意し、迷ったら消費者ホットライン(188)に相談してください。
あわせて確認したいこと
- 減免制度:災害で資産に大きな被害を受けた場合や、生活保護を受けることになった場合など、条例に基づいて固定資産税が減免される制度を設けている自治体があります。対象や手続きは自治体ごとに異なります。
- 課税内容の確認:納税通知書の内容に疑問がある場合(家屋を取り壊したのに課税が続いている気がする、など)は、資産税担当の窓口で内容を確認できます。
- 生活全体の立て直し:税金以外にも支払いが重なって家計が回らない場合は、市区町村の生活困窮者自立支援の相談窓口で、家計改善の支援を無料で受けられます。借金の返済が重なっている場合は、法テラス(0570-078374)で、収入等の条件を満たせば無料の法律相談を利用できます。
まとめ:督促が来ても、相談すれば道はある
固定資産税が払えないときにやってはいけないのは、通知や督促を放置することです。放置が続くと延滞金が増え、財産の差押えといった滞納処分に進む場合もあります。一方で、徴収猶予・換価の猶予という法律上の制度があり、分割納付の相談も広く受け付けられています。納税通知書と収支の分かる資料を用意して、市区町村の税務窓口に「払う意思はあるが、一括では難しい」と伝えることが解決の第一歩です。事情を話せば、状況に応じた納付の方法を一緒に考えてもらえます。税務窓口は、納める意思を持って相談に来た人を追い返すための場所ではありません。早めの一本の電話が、家と生活を守ることにつながります。
この記事の執筆者
マネーガイドジャーナル編集部
金融関連情報サイトの運営実績を多数持つ編集チーム。株式・不動産・FXなど幅広い金融資産の運用経験と、外資系ITコンサルティングファームで金融機関の案件に従事した実務経験をもとに、公式サイト・公的機関の一次情報を確認しながら記事を制作しています。
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