口座売買・名義貸しは犯罪|「口座を貸すだけ」の末路と巻き込まれ回避
「口座を貸すだけで報酬」という勧誘は、犯罪収益移転防止法に触れるおそれのある危険な誘いです。報酬がなくても刑事責任を問われるおそれがあります。口座売買・名義貸しの手口と末路、渡してしまったときの対処フロー、#9110などの相談先をまとめました。

【重要】注意喚起
本記事は被害防止のための注意喚起です。やり方・つながり方は扱いません。
結論から言うと、「口座を売る・貸す」「名義を貸すだけ」は、それ自体が犯罪になりうる行為です。犯罪収益移転防止法は、他人になりすまして預貯金口座を利用させる目的での通帳・キャッシュカードの譲り渡し・譲り受けを禁止しており、「貸すだけ」「使っていない口座だから」という理由は通用しません。報酬の有無にかかわらず、刑事責任を問われるおそれがあります。さらに、渡した口座が特殊詐欺の振込先などに使われれば、詐欺への加担を疑われる立場になりかねません。誘われた時点で断り、すでに渡してしまった場合は今日のうちに動いてください。
なぜ他人の口座が欲しがられるのか——手口と仕組み
特殊詐欺や違法な商取引でだまし取ったお金は、犯人自身の名義の口座では受け取れません。足がつくからです。そのため犯罪グループは、捜査の目をそらすための「他人名義の口座」を常に必要としており、一般の人から口座を集める勧誘が後を絶ちません。警察庁や政府広報も、口座の売買・譲渡が犯罪インフラとして使われている実態を繰り返し注意喚起しています。
勧誘の入口には、次のような型があります。
- SNS・掲示板での買い取り募集:「口座買います」「使っていない口座に眠る価値」などの投稿やDMで接触し、キャッシュカードや通帳の郵送を求める。
- 闇バイト求人の一部として:「簡単な作業」「スマホだけで完結」といった闇バイトの募集に応募すると、仕事の条件として口座やキャッシュカードの提出を求められる。
- 「レンタル」「一時的に借りるだけ」名目:「売買ではなく貸すだけだから問題ない」と説明する類型。貸す行為も譲渡と同様に規制の対象になりうるため、この説明自体が虚偽です。
- 知人・恋人経由の名義貸し:「事情があって自分名義の口座が作れない」「携帯と口座の名義だけ貸してほしい」と、人間関係を利用して頼み込む。断りにくい関係性こそが狙われます。
- 法人設立とセットの勧誘:名義だけの代表者になって法人口座を作らせる類型。個人口座より審査の目をくぐりやすいとされ、責任はより重くなりかねません。
「口座を貸すだけ」の末路
口座を渡した後に起きることは、報酬の額とは釣り合いません。
- 口座の凍結:犯罪利用が疑われた口座は金融機関により凍結されます。同じ名義の他の口座にも影響が及ぶことがあります。
- 新規口座の開設が難しくなるおそれ:口座売買に関与した情報は金融機関の間で共有される仕組みがあり、その後の口座開設や取引を断られるおそれがあります。給与の受け取りや家賃の支払いなど、生活の基盤に直結します。
- 刑事責任を問われるおそれ:譲渡・貸与そのものが犯罪収益移転防止法に触れるおそれがあるうえ、口座が詐欺に使われれば、事情によっては詐欺への加担(幇助など)として捜査の対象になりえます。「知らなかった」で済むとは限りません。
- 被害者との関係:自分名義の口座にだまし取られたお金が振り込まれれば、被害回復の手続きや損害の賠償をめぐる争いに巻き込まれる立場になりかねません。
- 名簿化と再勧誘:一度応じた人の情報はグループ内で共有され、「もっと出せ」「バラされたくなければ」と次の要求や脅しにつながるおそれがあります。
勧誘を見分けるチェックリスト
次のいずれかに当てはまったら、その時点でやり取りをやめてください。
- 「口座を貸すだけで報酬」をうたう。正当な取引で他人の口座を借りる必要はありません。
- キャッシュカード・通帳の郵送や手渡しを求める。
- 暗証番号・ネットバンキングのログイン情報を聞き出そうとする。
- 携帯電話の契約や法人設立とセットで名義を求める。
- 「違法ではない」「みんなやっている」「バレない」と繰り返す。違法性を否定する説明が先に来る話は、それ自体が危険信号です。
口座・キャッシュカード・暗証番号は「本人だけが使うもの」であり、他人に渡してよい場面は存在しません。家族や恋人からの頼みであっても同じです。
巻き込まれたときの対処フロー
段階に応じて、次のように動いてください。共通するのは、相手と直接交渉して取り戻そうとしないことです。
- 誘われた・まだ渡していない段階:返信せずやり取りを絶ちます。個人情報をすでに伝えてしまった場合や、勧誘が繰り返される場合は警察相談専用電話「#9110」へ相談してください。
- 口座やカードを渡してしまった段階:できるだけ早く口座のある金融機関に連絡し、利用停止の手続きを取ってください。あわせて#9110または最寄りの警察署に相談し、相手とのやり取り・送付記録・振込記録を保存します。早く動くほど、被害の拡大を防げる余地が大きくなります。
- 「言うことを聞かないとバラす」と脅されている段階:脅しに応じて要求を重ねるほど抜けにくくなります。ためらわず警察に相談し、身の危険を感じる場合は110番してください。
お金に困っているなら——安全な代替
口座売買の勧誘に心が動く背景には、多くの場合「今すぐお金が必要」という事情があります。しかし口座を渡して得られる報酬は一度きりで、失うものは生活の基盤そのものです。まずは公的な貸付・給付や合法・正規の資金確保の方法を確認してください。借金の返済に追われているなら、債務整理という正規の解決手段もあります。
相談先
- 警察相談専用電話「#9110」(緊急時は110番)
- 消費者ホットライン「188」(消費生活センター)
- 法テラス:0570-078374(法的な相談先の案内)
- 口座を渡してしまった場合は、上記とあわせて口座のある金融機関へ利用停止の連絡を。
よくある質問
Q1. 報酬を受け取っていなければ問題ありませんか?
いいえ。犯罪収益移転防止法の規制は報酬の有無だけで決まるものではなく、無償でも他人に口座を利用させる目的の譲渡・貸与は刑事責任を問われるおそれがあります。「お金をもらっていないから大丈夫」という説明は信用しないでください。
Q2. 使っていない口座を処分したいだけなのですが。
不要な口座は売るのではなく、金融機関の窓口で解約するのが唯一の正しい処分方法です。「眠っている口座に価値がある」という買い取り広告は、犯罪利用が前提の勧誘と考えてください。
Q3. すでにキャッシュカードを送ってしまいました。もう手遅れですか?
手遅れと決めつけて放置するのが最も危険です。すぐに金融機関へ連絡して利用停止の手続きを取り、#9110または警察署に相談してください。自分から早く申し出ることが、その後の対応において重要な意味を持ちえます。具体的な法的扱いは事情により異なるため、法テラス(0570-078374)で弁護士への相談も検討しましょう。
Q4. 家族が口座を渡してしまったようです。
責めるより先に、「どこに・いつ・何を渡したか」の事実確認と記録の保存を手伝ってください。そのうえで金融機関への連絡と#9110への相談に同行するのが有効です。脅しの連絡が家族に及んでいる場合も、家族が要求に応じてはいけません。
まとめ
口座売買・名義貸しは「貸すだけ」でも犯罪になりうる行為で、渡した口座は特殊詐欺などの道具として使われます。誘われたら断り、渡してしまったら金融機関と警察(#9110)へ今すぐ相談してください。お金の問題そのものは、公的支援や債務整理という正規の道で解決を図りましょう。
この記事の執筆者
マネーガイドジャーナル編集部
金融関連情報サイトの運営実績を多数持つ編集チーム。株式・不動産・FXなど幅広い金融資産の運用経験と、外資系ITコンサルティングファームで金融機関の案件に従事した実務経験をもとに、公式サイト・公的機関の一次情報を確認しながら記事を制作しています。
- 掲載情報は公式サイト・政府広報・金融庁等の一次情報を確認し、確認日を明記します
- 確認できない情報は「確認できず」と正直に記載し、憶測で断定しません
- 特定サービスの利用をあおらず、リスクと公的な相談先を必ず併記します



