生命保険を解約せずにお金を借りる「契約者貸付」とは?金利の目安と保障喪失リスク【2026年7月】
契約者貸付は、生命保険を解約せずに解約返戻金の一定範囲でお金を借りられる仕組みです。金利の目安(年2〜6%程度)や、返済しないと保険が失効し保障を失うリスクを解説します。

解約返戻金のある生命保険(終身・養老・学資・個人年金など)に加入している場合、契約を解約せずにお金を借りられる「契約者貸付」という仕組みがあります。
契約者貸付の仕組み
解約返戻金のおおむね7〜9割の範囲内で、保険会社から借りられる契約者固有の権利です(会社・契約により異なる)。保険を解約しないので保障は継続し、審査は原則不要で信用情報に影響しません。
金利の目安
金利はおおむね年2〜6%程度で、契約時期の予定利率に連動します(古い高予定利率の契約ほど貸付金利も高い傾向。会社・時期により異なる)。出典:生命保険協会・大手生保各社の公式説明(例:東京海上日動あんしん生命)
注意点:放置すると保障を失う
- 借金である:利息は複利で積み上がり、返済しないと元利合計が膨らみます。
- 保険失効のリスク:元利合計が解約返戻金を上回ると契約が失効・消滅し、いざという時の保障を失います。
- 死亡保険金・満期金からは貸付元利が差し引かれます。
それでも足りないときの相談先
- 公的な貸付・給付:急にお金が必要なとき国・自治体から借りる・もらう方法
- 消費者ホットライン「188」/自立相談支援機関(家計・生活の相談)
- 法テラス:借金・法的トラブルの無料相談
※クレジットカード現金化やソフト闇金・個人間融資は違法・規約違反のリスクが高く、避けるべき手段です。
利用の流れと事前に確認しておくこと
契約者貸付の手続きは、多くの保険会社で共通した流れになっています(詳細は各社で異なります)。どの保険会社と契約しているか分からない場合は、保険証券や口座の引き落とし履歴で確認できます。
- 貸付可能額を確認する:会員向けウェブページ・アプリやコールセンターで、現在の解約返戻金に基づく貸付可能額を確認できます。
- 申込み:ウェブ・電話・書面などで契約者本人が申し込みます。契約者貸付は契約者固有の権利のため、被保険者や受取人ではなく、契約者本人の手続きが必要です。
- 入金:指定口座への振込で受け取るのが一般的です。急ぎの場合の入金までの日数は会社や申込方法によって異なるため、事前に確認しておくと安心です。
申込み前に、適用される貸付利率、利息の計算方法(複利の周期)、返済方法の選択肢を必ず確認しておきましょう。なお、保険会社によっては、保険料の払い込みが滞ったときに解約返戻金の範囲内で自動的に立て替える「自動振替貸付」という別の仕組みもあります。これも貸付である以上利息が付くため、身に覚えのない貸付残高がある場合は、この仕組みによるものでないか確認してみてください。
利用前チェックリスト
契約者貸付は審査がない分、借りすぎ・返し忘れのブレーキも自分でかける必要があります。申込み前に次の点を確認してください。
- 返済のあて(時期と原資)を具体的に決めているか。「いつか返す」ではなく時期を区切れているか
- 元利合計が解約返戻金の水準にどの程度近づいているか(失効ラインまでの余裕の把握)
- 過去の貸付残高が残ったまま、追加で借りようとしていないか
- 満期金・年金の受取時期が近く、そこから差し引かれても支障がないか
- 配当金や税務上の取り扱いなど不明な点を保険会社に確認したか
特に注意したいのが、利息を長期間払わないまま放置するケースです。利息が元本に組み入れられて膨らみ、気づいたときには失効ラインの目前だった、という事態を避けるため、借入後も定期的に残高を確認する習慣をつけましょう。
向いているケース・向かないケース
向いているのは、返済のめどが立つ一時的な資金需要です。たとえば入金までのつなぎや突発的な出費で、保障を維持したまま短期間だけ借りたい場合には、審査不要・信用情報に影響しないという特長が生きます。解約して返戻金を受け取る方法と比べても、保障を残せる点で選択肢になり得ます。
一方、毎月の生活費の不足を埋める使い方には向きません。返済原資がないまま借り続けると利息が複利で積み上がり、失効リスクが現実味を帯びていきます。恒常的にお金が足りない場合は、国・自治体の公的な貸付・給付や、法テラス・自治体の家計相談など、根本の立て直しにつながる窓口を先に検討してください。また、すでに他の借入れの返済に追われている状態で契約者貸付を上乗せしても解決にはなりません。その場合は借金全体の整理を専門家に相談するのが先です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 返済はいつまでに、どのように行うのですか?
多くの会社では返済期限を厳密に定めず、随時返済(一部返済・一括返済)ができる形になっていますが、規定は会社ごとに異なります。「期限がない」ことは「返さなくてよい」ことではなく、放置すれば利息が積み上がり失効につながるため、自分で返済計画を決めておくことが大切です。ボーナス時にまとめて返す、毎月一定額ずつ返すなど、自分の家計に合わせた形をあらかじめ決めておきましょう。
Q2. 掛け捨て型の保険でも利用できますか?
契約者貸付は解約返戻金を担保にする仕組みのため、解約返戻金がない・ごく少ない掛け捨て型の保険では利用できないのが一般的です。また、対象となる契約でも、加入から間もない時期は解約返戻金自体が少なく、借りられる額もごくわずかにとどまります。自分の契約が対象かどうか、いくらまで借りられるかは保険会社に確認してください。
Q3. 借りていることは家族に知られますか?
手続きは契約者本人で完結しますが、残高通知などの郵送物の取り扱いは会社によります。なお、返済されないまま失効すると家族のための保障そのものが失われるため、家計にかかわる借入れは家族と共有しておくことをおすすめします。万一のときに保険金から貸付残高が差し引かれることを家族が知らないと、受け取れる金額をめぐって混乱が生じることもあります。
Q4. 複数の保険に加入しています。どの契約から借りるべきですか?
契約ごとに貸付利率や解約返戻金の水準が異なるため、一概には言えません。各社に貸付可能額と利率を確認し、条件を並べて比較したうえで、失効ラインまでの余裕が大きい契約を選ぶのが基本です。迷う場合は、借りる前に保険会社の窓口で相談してください。
貸付に頼る状態が続くときは保険の見直しも
契約者貸付を繰り返し利用している場合、それは保険料の負担と家計のバランスが崩れているサインかもしれません。貸付の返済計画とあわせて、保険契約そのものを点検する視点を持ちましょう。
- 保障内容と保険料を確認する:加入時から家族構成や収入が変わっていれば、必要な保障も変わっています。現在の契約内容を保険会社に確認し、家計に対して過大になっていないかを見直します。
- 解約以外の選択肢を先に聞く:保険料の負担を軽くする方法には、契約の一部だけを見直すなど、解約以外の手段が用意されている場合があります。何ができるかは契約によって異なるため、保険会社に選択肢を尋ねてみてください。
- 安易な解約は避ける:解約すれば貸付残高は清算できますが、保障を失い、再加入の際には年齢や健康状態の面で不利になることがあります。判断に迷うときは、決める前に自立相談支援機関など家計全体の相談窓口に状況を話してみましょう。
「借りては返す」を繰り返す状態から抜け出すには、貸付単体ではなく、保険と家計をセットで見直すことが近道になります。
まとめ
契約者貸付は、保険を解約せず低めの金利で借りられる合法的な手段ですが、借金であり、放置すると大切な保障を失うリスクがあります。加入中の保険がある場合の選択肢として、返済計画を立てて利用しましょう。
この記事の執筆者
マネーガイドジャーナル編集部
金融関連情報サイトの運営実績を多数持つ編集チーム。株式・不動産・FXなど幅広い金融資産の運用経験と、外資系ITコンサルティングファームで金融機関の案件に従事した実務経験をもとに、公式サイト・公的機関の一次情報を確認しながら記事を制作しています。
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