自己破産で借金はゼロになる?免責の仕組みと「免責不許可事由」を破産法で確認【2026年7月】
自己破産は、裁判所の免責許可決定で借金の支払義務を免れる制度です。免責の仕組みと、浪費・ギャンブルなどの「免責不許可事由」(破産法252条)、それでも認められる裁量免責について、条文をもとに解説します。

自己破産は、支払不能になった人が裁判所の免責許可決定を受けることで、借金の支払義務を法的に免れる制度です。ただし破産手続だけでは借金は消えず、別途「免責」の決定が必要です。
免責の仕組み
裁判所が支払不能を認定し、一定以上の財産を換価して債権者に配当したうえで、免責許可決定により残りの支払義務が免除されます。財産が乏しければ「同時廃止」で進みます。税金など一部の債務は免責の対象外です。出典:裁判所
「免責不許可事由」(破産法252条1項)
次のような事情があると、原則として免責が許可されません。
- 債権者を害する目的での財産の隠匿・処分(1号)
- 信用取引で商品を買い入れ、著しく不利益な条件で処分したこと(2号)
- 浪費または賭博(ギャンブル)その他の射幸行為で著しく財産を減少させ、または過大な債務を負ったこと(4号)
- 支払見込みがないのに、詐術を用いて信用取引で財産を取得したこと(5号)
- 7年以内に免責を受けているなど(10号ほか)
免責不許可事由があっても、裁判所は一切の事情を考慮して免責を許可できます(裁量免責・破産法252条2項)。実務では裁量免責が認められる例も多いとされますが、最終的な判断は裁判所によります。出典:破産法(e-Gov)
ギャンブルやクレジットカード現金化など不誠実な行いがあると免責が難しくなる場合があるため、まずは専門家に相談してください。
借金の相談はどこへ?(無料・公的)
- 法テラス(日本司法支援センター):無料法律相談と弁護士・司法書士費用の立替(資力基準あり)。費用の目安
- 金融庁 多重債務相談窓口:0570-016811。窓口案内(弁護士会・司法書士会等を紹介)
- 弁護士会・司法書士会・消費生活センター(188)
- ヤミ金・違法業者の被害は:無登録業者の見分け方と相談先
※債務整理は弁護士・司法書士に相談するのが基本です。本記事は特定の事務所を勧めるものではありません。
自己破産手続の一般的な流れ
自己破産は、書類の準備から免責の確定まで段階を踏んで進みます。一般的な流れは次のとおりです(具体的な運用は裁判所により異なります)。
- 専門家への相談・依頼:受任通知が送られると、貸金業者からの直接の取り立ては法律上制限されます。
- 申立て準備:債権者一覧、財産目録、家計の状況、借入の経緯を説明する書面などをそろえます。
- 裁判所への申立て・手続開始決定:財産がほとんどなければ同時廃止で進み、一定の財産がある場合や調査が必要な場合は破産管財人が選任される管財手続になります。
- 財産の換価・債権者集会(管財手続の場合):管財人が財産を調査・換価し、債権者に配当します。
- 免責審尋・免責許可決定:裁判所が免責を判断し、決定が確定すると支払義務が免除されます。
同時廃止か管財手続かで本人の負担は大きく変わりますが、どちらになるかは財産や事情によるため、見通しは専門家に確認してください。
同時廃止は、換価すべき財産がない場合に破産手続の開始と同時に手続を終えるもので、管財手続に比べて負担が軽いとされます。一方、免責不許可事由の調査が必要とされる場合には、財産が少なくても管財手続が選ばれることがあります(現金化やギャンブルの事情がある場合など)。
免責されても残る債務(非免責債権)の考え方
免責許可決定を受けても、すべての支払義務が消えるわけではありません。破産法は、性質上免責の対象にならない債権(非免責債権)を定めています。「免責されたのに請求が来た」と混乱しないよう、事前に知っておきたい項目です。
- 税金や社会保険料などの公租公課
- 養育費・婚姻費用など親族関係にもとづく支払い
- 罰金・科料など
- 破産者が悪意で加えた不法行為にもとづく損害賠償など
- 債権者一覧に故意に記載しなかった債権(債権者が手続を知っていた場合を除く)
自分の債務がどれに当たるかの判断は難しいため、必ず個別に確認してください。たとえば税金の滞納は、免責とは別に自治体や税務署への納付相談(分割納付など)で対応していくことになります。
免責不許可事由が心配なときの考え方
ギャンブルや浪費の心当たりがあっても、それだけで破産をあきらめる必要はありません。免責不許可事由は「該当したら終わり」ではなく、手続の中でどう説明し、どう生活を立て直すかが問われる事情です。押さえておきたいのは次の点です。
- 正直に申告することが大前提:不利な事情を隠したり財産を移したりする行為は、それ自体が免責不許可事由や犯罪に該当し得る、最も避けるべき行動です。
- 裁量免責の余地がある:裁判所は一切の事情を考慮して免責を許可でき、反省や家計改善への取り組みも考慮され得るとされます。ただし結論は個別事情によります。
- 経緯を説明できるように準備する:借入と使いみちの経過を時系列で整理しておくと、相談も手続も進めやすくなります。
- 手続への協力姿勢も評価され得る:裁判所や破産管財人の調査に誠実に協力する姿勢は、裁量免責の判断で考慮され得る事情とされています。逆に、説明の拒否や虚偽の説明は決定的に不利に働きます。
- 一人で結論を出さない:「自分は免責されないだろう」と思い込んで申立てをあきらめ、ヤミ金に流れてしまうのが最悪の展開です。免責の見通しこそ、専門家に確認すべき事項です。
申立て前後にやってはいけないこと
申立ての前後には、良かれと思ってした行動が手続に不利に働くことがあります。特に次の行動は避けてください。
- 特定の債権者だけへの返済(偏頗弁済):親族や友人にだけ先に返す行為は、債権者間の公平を害するものとして手続上問題とされる場合があります。
- 財産の名義変更・隠匿:車や預金を家族名義に移すなどの行為は絶対に避けてください。
- 新たな借入やクレジットカード現金化:支払見込みがないままの借入・現金化は、免責の判断に不利に働くおそれがあります。
- ヤミ金からの借入:「破産者でも貸す」とうたう業者は違法業者です。無登録業者の見分け方を確認し、絶対に利用しないでください。
- 直前の高額な買い物やキャッシング:支払見込みがない時期の新たな利用は、詐術による信用取引と評価されるおそれがあります。申立てを決めたら、新規の利用は止めてください。
迷ったときは「債権者全体から見て公平か」「裁判所に正直に説明できるか」という基準で考えると、避けるべき行動を判断しやすくなります。
よくある質問(FAQ)
Q.自己破産すると家族に支払義務が移りますか?
A.家族が保証人になっていなければ、家族に支払義務が移ることはありません。ただし保証人には請求が及ぶため、保証人がいる場合は事前に専門家と対応を検討してください。なお、同居家族の収入資料の提出を求められるなど、生活状況の確認が行われることはあります。
Q.すべての財産を失いますか?
A.生活に必要な財産まですべて処分されるわけではなく、一定の財産は手元に残せる運用がされています。何が残るかは事案や裁判所の運用によるため、相談時に確認してください。破産を恐れて財産を隠すほうが、はるかに危険です。
Q.免責が許可されなかったらどうなりますか?
A.支払義務は残りますが、不服申立てや他の債務整理手続への切り替えを検討する余地があります。取り得る対応は事案により異なるため、専門家に相談してください。
Q.一度自己破産すると二度とできませんか?
A.前回の免責から7年以内の申立ては免責不許可事由とされていますが、これも裁量免責の対象であり、結論は個別事情によります。まずは法テラス(0570-078374)などで相談を。
まとめ
自己破産は免責許可決定で借金の支払義務を免れる制度ですが、浪費・ギャンブル等は免責不許可事由にあたる場合があります。ただし裁量免責の余地もあり、判断は裁判所・専門家によります。
この記事の執筆者
マネーガイドジャーナル編集部
金融関連情報サイトの運営実績を多数持つ編集チーム。株式・不動産・FXなど幅広い金融資産の運用経験と、外資系ITコンサルティングファームで金融機関の案件に従事した実務経験をもとに、公式サイト・公的機関の一次情報を確認しながら記事を制作しています。
- 掲載情報は公式サイト・政府広報・金融庁等の一次情報を確認し、確認日を明記します
- 確認できない情報は「確認できず」と正直に記載し、憶測で断定しません
- 特定サービスの利用をあおらず、リスクと公的な相談先を必ず併記します


